Laub🍃

Laub🍃

2012.09.24
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カテゴリ: .1次メモ
「純粋な子が好きなんだ」

 そう言って笑うお前の目に映る、汚れている俺は、お前と同じ色をした、お前の友達。








「こうすけ!こっちだ!!ここらへん危ないから気を付けろよ!!!」

 息をするように人を始末する為に動ける周りの奴ら。
 置いてかれないように必死な俺ら。

 社会の格差ってこんな反吐の溜まり場にもあるんだな。

「分かってるって……それより、大声出すなよ、お前こそ気を……」

 言うがいなや響く銃声、前を走っていた奴らのうめき声。


「あっ、あいつなら大丈夫だって!」

 こうすけの狼狽を抑える為、こうすけを危ない所に跳び出させない為、こうすけの意識をあいつから少しでも逸らす為に宥めるが、こうすけはやっぱり優しいからじっとそっちを見詰めている。
 ちくしょー、あっちならどうせ歴戦の猛者みたいな風貌してんだから大丈夫だっつーの、危ないのは俺らだよこっちの心配しろよーと若干心の中で拗ねつつこうすけを庇って地に臥せる。
 もがもが動くこうすけだったが、「慣れるまでは足手まといにならないように気を付けるほうがいいんじゃねーの」と小さく囁くと、その抵抗も止んだ。よかったよかった。こうすけさえ無事なら俺はいいし。うお、前の方で血しぶきが飛んでるのを見ようとするこうすけ止めるのめんどくせえ。まあこうすけは優しいからな、心配なんだな、でもやめろよお前が危ないだろおおおおお…

「……ちょ、こら、危ないってこうすけ……」
「これくらいならいいだろ……それに、見とかないとこれからの参考に出来ないだろ」

 参考も何もー、俺がお前庇えばよくない!?あいつら盾にして要領良く生き残ればよくない!!?なんでそんな戦う気満々なの、責任感強いな本当お前、でもなんか目ぇ飢えた獣みたいな目もしてんなお前、ほんと俺お前のそういう所はちょっと理解できねーわ。

 パンパンパパンと敵から放たれる銃声、味方(俺とこうすけ除く)から放たれる銃声はなかなか止まねえが、幸いなことに、俺達みたいな小物は無視してくれてんのか、それともまだ見付かってないのか、銃声がこちらに近付くことはなく。

「……終わったぜ××無しおじょーさま達」

 先輩方強いねー怖いねー。かすり傷くらいしか負ってねえ、いやぁ敵に回したくないわー本当頼りになるわー。

「なっ……」



「ありがとうございます先輩方―!」

 利用できるもんは利用する。

 そうやってこれまで生きてきたんだから、しっかり利用させてもらうぜ目立ちまくりの先輩方。

「ちっ……調子いいなこの野郎…これからも使えなかったら本気で囮に使わせて貰うからな」

 そんなことばっかしてたから、俺を本当に心配してくれるのなんてこうすけ一人になっちまったんだけど……ま、いいや。人生こうすけに捧げるって決めてる俺マジミラクル超ハッピークズ野郎。



 いやー理解できねえわーと笑いながら言ってると、むっすーとしたこうすけが「……俺にも喋らせろ」と言ってくる。はいはい分かってるって。そういうのわざわざ言うこうすけ本当律儀だな。好きだわー。

「……すみません、ありがとうございます。……あの、本当、時間が空いた時でいいですし、基本的にお手数かけたくないんですが…戦闘や、訓練を少し見せてください……」
「……しゃあねえなあ」

 ……あ、暫くぶりに、新たなこうすけの為の課題発見した。

「えー、いいなー楽しそう!俺も俺も!!!」

 こうすけが他の奴に向ける笑顔や好意に対してもっと俺は寛容にならなくちゃなあ。

「……お前、ちゃんとやり通せよ?いっつも俺が居る時は続ける癖にいなくなったらすぐ……」
「ちゃんと続けるっつーの!」

 心配すんな、今回は本当に、お前の為にも、続けなくちゃいけないこと分かってるから。





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最終更新日  2015.12.28 13:49:55
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