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承前
この講義(歴史編)は、前期の講義であり、最後の日はテスト(前期テスト)である。
テストは、レコード(曲)を5曲聴き、その批評を書くというもの。
講師の、菊地成孔は、テストに入る前に、学生たちにこう言う。
インターネットとホームページの普及によって近年この「批評」という行為が爆発的に増えてきております。今や日本人全員がジュースを買っては批評し、映画を観ては批評し、人物を見ては批評して発表するということを日々繰り返していますね。
批評という行為には、自分が実際に体験した事柄以外へと開かれていく、外部的な視座・観点というものが必要になってきます。この講義で学習した「歴史」というものも、私たちの外部にあるものです。実際に批評を書こうとするにあたって、個人の嗜好、経験、身体性、心の問題といった個人的なファクターと外部からの批評視座とのあいだには、必ずノイズや軋轢が生じます。自分の身体の反応と、外部から与えられた教育や歴史との相克というものを、記述の中にどうにかして捻じ込む、という行為が批評だと言える。昨今ネット上などで見られる批評の多くは、外部に目を向けるのは苦しいからそういった擦り合わせをまったく放棄して、自分の身体性一辺倒で物事にあたる、といった方向に塗りつぶされつつあるのが現状だ(中略)現在の自分の尺に合ったもの、気に入ったものに関しては「偏愛」する、気に入らなかったものに関しては「滅茶苦茶なクレーム」をつける、といった、ある種の心理的暴力とも言えるような批評ばかりが増加することになります。インターネットが持っている外部遮断能力の高さにも原因があると思うけれど、現在、どの分野においても、いわば「分断して統治する」というシステムが是とされている。こうした状況が招いた事態ですが、そういった現在だからこそ「何かを勉強して何かを批評する」という作業が非常に重要であると思っています
。
以上長々と引用しました。しかし、この引用も講義の話し言葉などをカットし再構成して引用いたしました。
そして、テストの5曲は、
Glenn Miller and His Orchestra `Chattanooga Choo Choo`(1941)
Bud Powell Trio `Indiana`(1947)
The Giuseppi Logan Quartet `Dance of Satan`(1965)
George Benson `Affirmatrion`(1976)
銀巴里セッション`Green Sleeves`(1963)
かく言うこのBlogも日記形式の批評・感想のうちに入るものである。自戒もこめての引用である。
菊地の言うとおり、自分の「偏愛」があることは否めないが、自己の気づかぬこと、わが意を得たりと言ったことや新たな発見になど書籍に関しては主に書いている。
最近映画について書いていないが、こちらの
サイト
に「南包」として発表しています。よろしければ、御一読を。
東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編
菊地成孔+大谷能生
文春文庫
2009年.3月10日 第1刷
『手仕事の日本』 2015.10.16
『ひらがなだいぼうけん』 2015.09.26
新折々のうた2 2015.09.25