生活雑記2

pH・GH・KHの関係 ~簡易理解編~



pHについては学校でも習うので、比較的多くの人が理解している。数値が低ければ酸性であり、高ければアルカリ性である。水素イオンの量が云々という知識は不要なので考えなくてもよい。

次の硬度に関する問題はかなり多くの人が誤って理解している。



【 KH(炭酸塩硬度)・ GH(総硬度)・pHの関係 】

炭酸水素イオン(HCO3-)の量を量り、そこから炭酸水素イオンと対を成しているカルシウム(Ca2+)とマグネシウムイオン(Mg2+)の量を・・・・という無意味な知識はとりあえず忘れる。


硬度とはいわゆるカルシウムやマグネシウムの含有量のこと(※KHはカリウムなどの+イオンも含む)
そして、KHとはいわゆるpHのバッファ(緩衝物)であり、GHとはその副産物である。


簡単に理解するには

コップに砂糖水を凍らせた氷を入れる。そこに0度の水を注いでも、氷はほとんど溶けず、そそいだ水は甘くないままである。

しかし、そこに少しずつお湯を注ぐとどうだろう。砂糖氷は徐々に溶け出し、水は徐々に甘くなるが、水温は砂糖氷のおかげで急激に上がることはない。

続けてお湯を注いでいくと、あるところで砂糖氷が完全に溶けてしまった。するとどうだろう。水温が急に上がるようになる。砂糖氷という緩衝物が無くなってしまったためである。


つまり、KHとはここでいう「砂糖氷」であり、GHとは「砂糖水」のことである。また、「0度の水」は中性の水ということであり、「お湯」は酸性の水ということである。

コーヒーに砂糖を入れても最初は全く甘くない。それは砂糖が溶けていないためだ。水槽にKHが存在しても溶けていなければ、生き物はそれらのカルシウムやマグネシウムを利用することは出来ない。

砂糖が徐々に溶け出すとコーヒーは甘くなり、そうして初めて人間の舌が、それを甘いと感じることが出来る。カルシウムやマグネシウムもGHとして検出されて、初めて生き物に利用される。


KHは酸性の水に溶けて、GHが生まれる
つまり、KHが低くなるということは、その分GHが高くなるということ。


KH10、pH7、GH0 の水にpH5の水を注ぐと・・・

KH8、 pH7、GH2 になる。


KHという緩衝物のおかげでpHは変わらなかったが、削り取られたKHがGHとして増加した。


KH0、pH7、GH0 の水にpH5の水を注ぐと・・・

KH0、pH6、GH0 になる

緩衝物であるKHが無いので、pHが素直に下がり、GHもかわらない。
※上記はわかりやすく数値化しただけで、必ずこの数値になるわけではない



一般的な水生生物(動物と植物)を飼育する上で、適当な水質とは

pH6.5~pH7.5の中性
KH1~4
GH2~6

であり、純水(KH0、GH0)では水生生物を飼育することは出来ない。また、極度な酸性(pH5.5以下)でも同様である。
※南米産の魚や水草はこの限りではなく、pH6、KH0.5、GH1といった水質を好むものもある。ただし、やはりKH0、GH0では飼育はできない。




※このホームページで紹介させていただいている内容を実践され、結果生じた一切の損害などについては責任を負いかねますので、全て自己責任において実践されますようにご注意願います。


                                                文・神田 亮

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