一期一会 ~笑いまひょ~              *ひろニコ時々便り*

--友の言葉~告知--

2001.5.3~4

 仲の良い女友達が我が家にお泊りに来る。
こんな時は、寝る前などにも色々話出来るのが楽しみであり。
その時に彼女から言われたことが、「ひーさん、もったいない時間の使い方してるよなぁ」って。

 我が家は自営業で私は家事手伝いの身。
時々バイトに出ては、好きな旅行にいったりと。
しっかり働いている彼女からは私の時間の使い方が気になったらしい。
その言葉が転機に繋がることになった。

 前々から気になっていた胸の分泌物。
それに脇にしこりも見つけていたし。乳腺外来に検査の予約。30歳を迎える3日前に・・・。

2001.5.11

 今までの検査はマンモと分泌物の検査、それとエコーだったが、今回は迷わずに針生検も。
ピストルのようにバシッと音がしたかと思ったら、細長く組織が取られていた。後の処置をしてもらい、1週間後の結果ということでその日は帰宅。

 次の日、組織を取った後の胸が皮下出血で真っ青に。
え~~っ!って驚いたけど、仕方ない。だって検査したんだから。
傷の処置をしてもらうため病院に行きDrが見ても驚いていた。
こりゃ訴えられても仕方ない程やなと、冗談めいて。
大阪出身のDr.Nっち。(←、愛称)。
針生検した時も、穿刺した胸に向かってパンパンと拍手を打ち、「何にもないように、拝んどくわな」と。

2001.5.19

 検査結果を聞きに病院へ。あいにく両親は法事があり2人とも留守。
ドキドキしながら、1人でDrと向き合う。
Drから発せられた言葉は「まだなぁ、結果来てへんねん。薄く薄く切って調べてるんや。」

 ・・・、なんやねん。
今日出るっていうから、来たのにさ。
Dr.Nっちの次の外来受診日に予約を入れて帰る。
幸い、病院から家まで近いので自転車でサイクリング気分。
家に着くと、電話が鳴っていた。

 私「もしもし」
相手「あっ、あのこちら○○病院ですけど・・・」。どこかで聞いたことがある声。
私「はい。」
相手「お母さんの、受診日の変更を伝えようと思って・・・。」
母も私と同じ病院で診察を受けている。留守である主旨を告げ、受話器を置いた。

 今聞いた声は、確か私がお世話になっている外科のナースやわ。
今まで母になんか、病院から電話はないのになぁ。嫌なことが頭をよぎった。。。

2001.5.22

 今日は母と2人で結果を聞きに。
先の人の話が長く、かなり待たされて、ちょっとイライラ(--;). 
予約時間より30分遅れで診察室へ。
検査したマンモや病理の検査が届いているらしく、Dr.Nっちはカルテを広げて待っていた。

 Dr「ちょっと遅れてしまって、スミマセン。」
母「先生、長いこと待たされ座っていたらお尻に根が生えたわぁ」(←、いかにも大阪のおばちゃん全開★)
Dr「じゃ、水遣ってもらおうか」 Drも負けじと・・・。

 本題、Drが少しの沈黙の後・・・
「残念ですが、悪い結果でした。僕もどう言えばいいのか、すごく悩んだんですけど。」と。

 やっと白黒ついて、私はホッとしていた。
モヤモヤした気持ちがなくなって清々しいというか。
次々に手術の説明、その後の治療方法など、Drから話されていく。
その言葉ひとつひとつを頭に叩き込むように、しっかりと聴いていたと思う。

 一区切りついたとき、Drが「もし、他の病院で検査をというのなら、僕はきっちりと整理してこの検査結果を渡しますので・・・」と。
今ではごく当たり前になっているセカンドオピニオンのことを説明してくれた。

 その時の誠実な態度をみて、Dr.Nっちに最後までお任せしようと心に決める。
まぁ、面白いキャラっていうのも決め手になったのは確かやけど。
「最後までがんばろうな。」Dr.Nっちが言ってくれた。

 不思議と母も私も涙はなかった。帰宅して父に話す。
後で聞いた話だが私が居なくなった場所で泣いていたらしい・・・。

 こうして30歳の5月、乳癌と出会う。





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