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さて先日当院では、国産のトプコン社の「3D OCT-2000」という新型の検査機械を導入したわけですが、この機械を使うと患者様に一体どのような良いことがあるのでしょうか?今日はその1例をお示ししたいと思います。
さてこのOCT、実に様々な検査ができます。検査のメニュー一覧画面をちょっと見て戴きましょう。

このメニュー画面で最初の4つは目の底の網膜(眼底、特に黄班部という大切な部分に異常が無いか?)、次の3つは視神経(緑内障が無いか?、もしくはある場合どの程度の進み方か?)、次の1つは隅角という目の中の水の出口の状態を見るものです。
今日はこの中で、「緑内障」という病気 に絞って見てみます。緑内障と言うのは目の視神経の数が減って見える範囲(視野)が欠けてくる病気です。進行すると失明してしまうこともある怖い病気です。
OCTでは、まず「3次元視神経乳頭解析」をします。


↑ これが実際の緑内障患者様の検査結果ですが、上の写真の水色の矢印部分、視神経の下側が減ってしまっているのが分かります。減ってしまっている部位は赤色、もしくは黄色で表示されます。
この同じ患者様で、今度は「黄班部緑内障解析(通称GCC検査)」をすると、


GCCと呼ばれる「神経節細胞複合体」というものが減ってしまっていることが手に取るように分かります。減ってしまっているところは上の写真の水色の矢印で示した濃い青色の部分です。
これまでの緑内障検査と言うのは、我々眼科専門医が視神経を実際に見て「これは神経が減ってるぞ!緑内障が怪しいぞ!」と見当を付けると、「えっ、私緑内障なの! もしかして失明するの??」と動揺した状態の患者様自身が暗い部屋に入ってドキドキしながらボタンをピコピコ押すというような、やや不正確な自覚的な検査である「視野検査」しかありませんでした。
また、目の神経と言うのは生まれたときには120万本あるのですが、この「視野検査」では大体視神経が半分の60万本以下にならないと異常が検出できないので、初期の緑内障はなかなか発見できないという致命的な弱点がありました。
ところがこのOCTがあれば、視神経がどの程度減ってしまっているのかを、まるでCTやMRI画像のように分かりすく他覚的検査結果として表示することができるので検査結果の信頼性が高く、かつ視野検査ではまだ検出できないレベルの初期の緑内障の段階で病気を発見できるのです。更に「視野検査」と較べると検査自体が短くかつ楽チンであるということも大きなメリットです。
まとめると、怖い病気緑内障に対して
「精神的・肉体的に楽な検査で、早期発見、早期治療ができる」
これがこのOCTによる緑内障検査の最大の利点と言えるでしょう。
もちろんこのOCTは非常に新しい機械なので、その検査結果をどう読み切っていくか、私も毎日猛勉強を続けています。
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