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千菊丸2151 @ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
mifess @ お元気ですか 2012/03/01 仙人草21さん >その後、記事の掲載が進…
仙人草21 @ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
mifess @ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
仙人草21 @ kyonkyonさん、こんにちは! いつも温かいコメント、ありがとうござい…

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俳ジャッ句      耀梨(ようり)さん
Jun 8, 2009
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 イケは、物も言わずにすぱっすぱっと歩きだした。何かを切り捨てるように両腕を鋭く、振

った。

そして、自分にくっついてしまったものを、意を決して剥がそうとするような、強いものが目

の中にあった。

「イケ、警察へ行った方がいいよ。ねえ、イケ。ぼくたちじゃ、どうにもならないよ」

「お前には、分からないんだよ。とにかく、はやく歩けよ。ぐたぐた喋ってんじゃ、ねーよ。

此処から、さっさと離れるんだ」

「離れるだけじゃ、何の解決にもならないよ。イケッ」

「お前には関係ないことだよ。



んなことは、しねーよ。しねーって、決めたからよ」

「でも、イケ。何にもしてないイケを奴らは蹴ったんだよ。

ちゃんと警察に行った方がいいよ。これからだって、奴ら、何をするか分からないよッ。ね

え、イケ」

 イケは返事をしなかった。

奴らから、遠く離れた時、イケはぶっきらぼうに言った。

「オレ、此処で帰る。お前と話しても、分かってもらえねーし、よ。

お前のじいちゃんに、礼を言っといてくれよな?いいじいちゃんだぜ。オレも欲しいよ、あん

なじいちゃん」

「イケ、何でだよ。何でここで帰っちゃうだよ。先生だって、ぼくん家に来るんだよ。おじい

ちゃんだって、イケのこと心配してるんだから、一緒に行こうよ」



お前に説明するのも、めんどくせーからよ」

「何で、めんどくせーんだよッ。ぼくたち、友だちだろッ?」

「確かに、なッ。確かにそうだよな。お前の言う通りさ」

「だったら、だったらさ。警察がだめって言うんなら、先生とおじいちゃんに、相談しよう

よ。それしかないよ。ぼくだって、ほんとは、イヤだよ、相談するの。でも、仕方ないじゃ



「そんなこと、できるかッ?だからよ、お前に説明したくなくなるんだよ」

「友だちだって、言ったよね?それなら、説明しろよッ。どうするつもりなんだよ、イケは!

どうやって、解決するんだよッ!分かるように、説明しろよッ」

 ぼくは、解決に向かって歩き出したかった。

イケは、ふんと、笑った。

「オレよ。親父、でっきれー(大嫌い)だけどよ。ちゃんと仕事行ったか心配なんだよ。だら

しねー、親父だからよ。だから、帰るから、よ。じゃーな」

 イケは、もう、ぼくを振り返りもしないで、いつものように片手を挙げて、行ってしまっ

た。

「ぼくはまだ、説明きいてないよー。どうすんだよォー、イケーッ」

「やっかいな親父、だからよー。仕方ねーんだー」

 ぼくは、追いかけて行こうとした。でも、止めてしまった。

ぼくは、イケの何が分かっていないのだろう。

                             つづく
















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Last updated  Jun 8, 2009 04:04:04 PM
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