のぽねこミステリ館

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2005.03.21
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スウェーデン館(やかた)の謎

~講談社ノベルス~

 福島は裏磐梯のペンション、サニーデイに取材に来ていたアリス。隣家は、「スウェーデン館」と呼ばれるコテージである。乙島リュウという童話作家、ヴェロニカというスウェーデン出身の妻たちが、そこに住んでいるという。
 アリスは、近場の沼で、ヴェロニカに会った。午後からのお茶に誘われ、赴くアリスとペンションの主人。アリスは、「スウェーデン館」に遊びに来ていた人々とも親しくなったのだが。
 翌朝。サニーデイに悲報が届く。「スウェーデン館」に客としてきていた女性が、離れで死んでいるという。どうも殺されたらしい。
 母屋と離れの間には、被害者のものとおぼしき足跡、第一発見者が死体を発見したときに往復したという足跡以外に、犯人のものと思われる足跡がなかった。また、離れの煙突は、真ん中あたりで折れていた。
 アリスは、この事件を火村に電話で伝える。

 さて、これでアリスさんの国名シリーズの感想は、全てつけたことになります。
 本作は、国名シリーズ第二作。長編です。現段階で、国名シリーズの長編は、他に『マレー鉄道の謎』しかありません。

 やっぱり、ストレートな本格ミステリだな、という印象ですね。もちろん、本格ミステリが好きだから読んでいるのですが、最近の西尾維新さんや佐藤友哉さんの路線もとても好きです。むしろ、ああいうものの方が今は好き、といえるかもしれません。人の好みは、それは変わるものです。私は高校の頃までなすが嫌いでしたが、大学生になってからは、なすは大好きな野菜になりました。マーボーなすなんてたまりません。ああ、食べたくなってきた…。
 綾辻行人さん、有栖川有栖さん、二階堂黎人さん、法月綸太郎さん、こういったガチガチの本格ミステリが大好きで読みあさっていた時期が、高校生の頃。京極夏彦さん、森博嗣さんと、講談社メフィスト賞系統の作品にふれていったのも、高校生の頃。どこかで書いたことがあるかもしれませんが、私がこんなにも本を読むようになったのは、中学生の頃に『八つ墓村』が豊川さん主演で映画化され、横溝正史さんの作品がクローズアップされた頃に横溝さんの作品を読み、それからです。ミステリはこんなにも面白いのか!と、むさぼるように読んでいました。純文学(?)も読むようになったのが、高校生になってから。鷺沢萠さん、江國香織さん、吉本ばななさんあたりを読むようになりました。大学生になって、古典を読もう、と思い立ち、海外の有名どころ、日本のいわゆる文豪の作品に(後者のが少ないですが)あたっていきました。
なお、本書は再読でして、高校生の頃に読んでいます。あの頃は、とても楽しく読めたと思います。今は、先述のとおり、「ストレートな本格ミステリ」だなぁ、と感じました。嗜好に変化が現れたのだな、ということを、読書遍歴を語ることで醸し出してみたつもりです。
 昔は、謎解きや犯人の告白シーンをわくわくしながら読んでいたものですが、最近は、切ないような気分になりながら読む傾向にあります。犯人もつらかったんじゃなぁ、と思ったり。理不尽さを嘆いたり。被害者の遺族の方に思いをはせたり。
 私は、感受性が豊かすぎる、他人との境界があいまいだ、と、医師に指摘されたことがあります。つまり、一番苦しいのは相手なのに、あたかもその苦しみを自分のことのように感じてしまう、悲しいニュースを見たり聞いたりすると、被害者の方たちの心情を考えてしまったり、自分がその立場だったらどうだろう、自分にもああいうことがあったが、もしあの時こういう風に動いていたらどうだったろう…と連想が進みすぎてしんどくなる、ということがしばしばありました。病院で、朝、食堂でニュースを見ていてしんどくなって看護師さんを呼んでもらったことが何度かあります。最近は、自分が取り戻せてきた、というか、その頃ほどゆさぶられることは少ないのですが、基本的にその傾向は自分の特徴としてあるようで、本書を読んでいても感じました。





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Last updated  2005.10.15 18:55:39
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