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2005.06.19
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エルの終わらない夏

~講談社ノベルス~

 早河荏瑠(エル)が17歳の年、母が死んだ。エルは、父親の兄である桂にひきとられることになった。エルは、物心つく前に彼に会ったことがあるそうだが、ほとんど知らない相手といってもよかった。
 17年前の夏、桂の家で事件があった。暖炉に、身元不明の女性が暖炉で焼かれていた。桂は、外側から閉ざされたアトリエの中で、倒れていた。その現場に、エルの父である成もいたようだが、成の行方は、それきり分かっていない。警察は、成の犯行とする説ももっていたが、すでに時効であった。
 エルは、過去の事件を知らなければ、これから先に進むことはできない、と考える。彼女が一人きりの時に、ふいに現れる不思議な女性、ウラニア。桂のもとへ住むようになって出会った少年、誠。二人は、過去の事件のことを考える手伝いをしてくれる。
 家庭教師としてエルについた大学院生も事件のことを探ろうとしたが、行方不明になった。エルたちは、桂が主犯ではないかと考えてはいたが、やはり過去の謎は解き明かせなかった。

 内容紹介はこのくらいにしましょう。過去の謎が分からないままに物語が終わったりすることはないので、ご安心を。
 あれは、北村薫さんの小説だったでしょうか。他の作品でも、読んできたことですし、実生活でも感じていることですが…。ある事件が起こる。不明な部分を明らかにすることは、たしかに大切ですが、人生はそれで終わりではありません。その後、どうしていくか、が大切な問題となるのです。
 衝撃的な形で、事件の真相を知るエルさん。しかし、彼女は、それから、大きな決断をせまられることになります。17歳の少女が抱えるには、あまりにも重たい問題…。

 上記の内容紹介で、関田さんの既刊ヴィッキー・シリーズを読んだことのある人は、「ん?誠?」と思われたかもしれません。もちろん、本作は本作自体で十分に面白い(interesting)ですし、考えさせてくれる物語ですが、既に三冊出ているヴィッキー・シリーズを読んでいると、さらに興味深く読めるのではないでしょうか。やはり、ある作家の本を読むときは、一作目から順番に読んでいる方がよいなぁ、と感じました。ヴィッキー・シリーズは三作目『刹那の魔女の冒険』で一応の完結、と聞いていたので、このような形でふれることになるとは思っていなかったのでした。なので、ちょっと嬉しかったです。
 エルさんに、素敵な未来が訪れますよう-。





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Last updated  2005.06.19 12:15:22
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