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2005.10.15
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白い犬とワルツを

Terry Kay, To Dance With The White Dog
~新潮文庫~

 結婚生活57年目。妻、コウラが亡くなった。
 サム・ピークとコウラの間には、7人の子供がいた。ピーク家の手伝いをしてくれているニーリーは、何人かの子供たちにとっては、親のような存在でもあった。そのかしましいおしゃべりは玉に瑕なところもあったけれど。
 コウラが亡くなってからしばらくは、子供たちがひっきりなしにサムの家を訪れて、世話をしてくれた。しかし次第に、訪れる回数も少なくなってきた。ケイトとキャリーは、近くに住んでいたけれど。
 そのころ、サムは、白い犬を見かけるようになる。なかなか自分に寄り付かない白い犬は、しばらく姿を消していた。しかしまた、現れるようになる。サムにしか近寄らない白い犬を、子供たちはしばらく見ることができなかった。父の頭がおかしくなってしまったのではないか。子供たちがそう考えていることが、サムにはよく分かった。しかし、サムは信じていた。子供たちにも、いつか白い犬が見えるようになる、と。

 足の悪い老人、サム・ピークが主人公の物語です。ずいぶん有名になった作品ですが、私はドラマも見ていませんし、内容もあまり知りませんでした。ほとんど先入観をもたずに読んだのですが(もちろん、感動できる話というのは想像していましたが)、あたたかい物語でした。
 なにかに夢中になっていると、そのことに関わることに、敏感になるものです。私は中世ヨーロッパの説教について勉強をしているのですが、サムの息子たちのうち二人は牧師で、説教活動を行っています。サムが、60年ぶりにマディソンの学校の同窓会に行く途中、道に迷うのですが、そのときに彼を助けてくれるのも説教師です。こんな感じで、説教が関わるところを気にしながら読みました。ああ、説教を聴いてみたいです。

 一箇所だけ気になったところがあります。字の文で、基本的にサムは、”彼”と表記されていますが、サム自身の心境が語られることもあります。セリフの中でも字の文に描かれる心境でも、基本的にサムの一人称は”俺”なのですが、少なくとも180頁では、一人称が「わたし」となっているのです。細かいことですけれど。





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Last updated  2005.10.15 17:31:24
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