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2006.03.08
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鷺沢萠『ハング・ルース』
~河出文庫~

 家出をし、男たちの家に居候をしてまわっていたユニ。何度も男に裏切られ、それでも男に期待する自分。それは、借金を繰り返す父の姿と似ていると思い、彼女は自分に少しあきれたりもする。
 タツヤと暮らし始めてから、「クラブ・ヌー」での仕事をやめていたが、タツヤの部屋から出て行くことになった。ユニは、昼の仕事もしながら、再び「クラブ・ヌー」での仕事をはじめた。
 フェイスとは、そこで出会った。眠気にたえながらグラスを運ぶ彼女を、踊っていると形容するウェイター。その言葉に、フェイスは大笑いしていた。
 その日はとにかく疲れていて、具合が悪くなり、彼女は早退きした。居候先の女友達のところには、そのカレが来ていて、ユニには眠る場所がなかった。
 ふらふら歩いていると、見つけたのは外車のショウルーム。ユニはそこにもたれて座り、眠ってしまっていた。
 次に目覚めたとき、やわらかい場所に寝ていることに気づいた。ユニの隣には、フェイスがいた。

 久しぶりに読んだ、鷺沢さんの作品。

 そんな彼女が出会ったフェイスは、体温を求めている人物です。おそらく賭博か、まっとうな手段で稼いでいないのは明らかなフェイスでしたが、ユニはいつか、彼を好きになっていきます。
 印象に残っているのは、ユニがフェイスの部屋に、生活がないと感じるところです。いろんな人の部屋に住んでいるユニは、部屋の様子から、「何か」を感じるといいます。しかし、フェイスの部屋にはそれがない。
 ハング・ルース。親指と小指をたてて、ゆるくつかまる。この話をするフェイスはかっこよく思えたのですが、考えてみれば大変なこともしていますし。ただ、そういう生き方もある、ということは、まったくその通りなのでしょう。
 「おわりに」も、とても印象的でした。





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Last updated  2006.03.08 20:15:58
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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