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2006.04.15
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びっくり館の殺人

~講談社、2006年~

 大学生、永沢三知也が古本屋で手に取った一冊の本-鹿谷門実『迷路館の殺人』。彼は、いやおうなく、小学六年生の頃に関わった、「びっくり館」での密室事件を思い出す。
 館シリーズ第八作にもあたる、講談社「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」書き下ろし作品です。以下、簡単に内容紹介と感想を。

 三知也は、父親とともに神戸市A**町に引っ越してきた。まもなく、クラスメートたちから、「びっくり館」についての噂を聞く。館の中にはとにかくびっくりすることがあるだの、びっくりユウレイが出るだの…。
 ある日、英会話スクールの帰り道、三知也は「びっくり館」に古屋敷という標識があるのに気づく。いつもはしっかり閉ざされている門扉も開いており、敷地内に足を踏み入れた。
 そこで知り合った一人の少年-トシオ。亡くなった兄と同じ名前でどきっとしたのだが、二人は次第に仲良くなっていく。
 体が弱いというトシオを、その祖父の龍平はきびしく監視しており、三知也が一緒に遊ぶ時間も制限された。そんな古屋敷氏が、三知也やその友人のあおい、トシオの家庭教師を招いて、トシオのための誕生会を開く。そこ招かれた三人は、不気味な腹話術ショウを披露された。「人形」には、トシオの亡くなった姉、リリコの名がつけられていた。
 やがて、トシオの周囲に起こる異変。三人は、古屋敷氏に問いただすべく連絡をする。古屋敷氏があらためて三人を招いたクリスマスの夜、密室状態の中で、古屋敷氏が殺されているのを三人は発見した。


 いままでの作品の多くが、標題になっている館の中で(一定の期間の)集団生活→殺人事件発生、という流れなのに対して、本作は、主人公が「びっくり館」の外にいる時間の方が長いです。そういう意味でも、ちょっと異色かな、と。
 活字も大きく、読みやすかったです。読了に二時間もかかりませんでした。
 先にも書きましたが、『暗黒館』がちょっと不満だったので、綾辻さんに対する評価が変わりそうだったのですが、本作で安心しました。
 館シリーズは、十作で完結の予定だとか。完結まであと二作…。次回の作品は楽しみですが、終わりが近づくと考えると、ちょっと寂しいですね。そういえば、本作の中で、「不気味な仮面をモチーフにした館」について言及されています。『奇面館の殺人』というのが構想にあるそうですが、第九作はそうなるのでしょうか。
 老人の腹話術のシーンはかなり不気味でしたが、何枚もある挿絵もけっこう不気味でした。
   *
「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」のシリーズを買ったのは、これが初めてです。作家読みという意味では、森さんや島田さんが同シリーズで出している作品も、文庫化(するのかな?)を待てばよいのですが、綺麗な装丁という意味では、他の好きな作家のも欲しくなったり…。とはいえこのシリーズは少々高いですから、なかなか買うふんぎりがつかないでいます…。





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Last updated  2006.04.15 11:12:53
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