のぽねこミステリ館

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2006.10.21
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~集英社文庫、1999年~

 七編の短編からなる連作短編集です。いわゆる日常の謎ミステリですが、そういうジャンルには収まらないような物語も中にはありました。

 失恋して、気分を変えるのに引っ越しでもしようと考えていたわたしこと岡村柊子さん。そんな彼女に、友人の彦坂夏見さんから電話がかかってきます。変わり者の友人、松江銀子が同居人を探している、という内容で、わたしは銀子さんの性格についてろくに話も聞かず、引っ越しを決めてしまうのでした。
 銀子さんは、俳優で監督、さらにエッセイストとして有名な松江丈太郎の娘です。彼女の過去の不幸な事件(影が現れると家族が死ぬ、という話で、彼女のお姉さんも亡くなっていました。第一話 「あなただけを見つめてる」 )を聞いたり、玄関にはおばあさんの幽霊が出たりと、初日から不思議な体験の連続です。
 近所のゴミ出しにうるさいおばさんが死体を見たといって大騒ぎする事件(第二話 「サンタクロースのせいにしよう」 )や、銀子さんが聞いたという、庭のチューリップを球根ごと抜き取られていた庭の話(第三話 「死を言うなかれ」 )。チューリップの事件では、銀子さんの腹違いのお兄さんにあたる曽我竜郎さんが活躍します。また、コンクリートに足跡がついている、という話から玄関の幽霊の正体を探るところまで発展したり(第四話 「犬の足跡」 「虚構通信」 )。銀子さんと二人で台湾に行ったときは、非常識で身勝手な銀子さんに対して強い怒りを感じたり(第六話 「空飛ぶマコト」 )。
 そして、銀子さんのお父さんが倒れてしまい、二人は同居生活を終えることにします。銀子さんは、それまでに家事を教えて欲しいというのですが、それはひどい有様でわたしは何度も激怒しそうになります。その頃、個人的にもいろいろへこんでいたわたしは、夏見さんと竜郎さんと一緒に遊びに行きますが、夏見さん・竜郎さんの大げんかにへこまされ、さらには誰かに竜郎さんのビデオが壊され、ひどく険悪なことになります(第七話 「子どものけんか」 )。
 割と余韻を残す話が多く、面白く読みましたが、やはり胸の痛むような話も多かったです。





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Last updated  2008.03.23 15:22:11
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