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2006.11.19
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~講談社BOX、2006年~

 舞城王太郎さんの久々の新刊ですね。主人公は、成雄さん。
 高校生の頃、100mを5秒で走れるようになり…どころか、間もなくそのスピードは音速を超え、走れる場所は陸上だけではなくなります。長じた成雄さんは、ランナーハンターとして活躍するようになります。成雄さんのように速く走る人々を追いかけ、つかまえる仕事ですね。過去に、音速を超えて調子に乗って、人を殺しまくったランナーがいたということで、ランナーを捕まえるためには手荒いこともします。そこで問題になるのが、倫理観、です。どこか、世間とずれた成雄さんの倫理観。そんな成雄さんに怒りを感じ、恐れを感じる周りの人々もいます。
 長じた成雄さんと、過去の成雄さんが交互に描かれるようですが、どこか齟齬を感じるところがあります。その他の登場人物の名前も同じなのですが、かみあわない感じ。それが、本書の一つの主題を表しているのでしょう。
 成雄さんの背中の鬣とか、走る速さとか、『山ん中の獅見朋成雄』に通じるものがありますが、どちらかといえば連想したのは『阿修羅ガール』でした。あるいは、他の作品のイメージです(おぼろげな記憶なのでどれとは言いにくいのですが…)。
 本書に出てくる、多くの人を食べてしまう白玉。それはある人にとっては、人間の集中力であったりもします(人を食う白玉=人間の集中力を示す白玉、というわけでもないのでしょうが)。非現実的な要素がもつ比喩を、私は理解できたとは言えません。ですが、その白玉との戦いであるとか、白玉に住む女性を追いかける物語などは、それ自体として楽しめました。そして、物語終盤に出てくる森のイメージ。特にそのシーンが、私が『阿修羅ガール』を連想した一因になっていると感じています。
 物語の性格上、いつものようにあらすじを紹介するのは難しいと思い、このような形で書いてみました。





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Last updated  2006.11.19 09:41:38
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