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2007.05.02
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途方もない放課後

~新潮文庫、2001年~

 エッセイ集です。冒頭に収録された「三十路の誓い」や、「人魚とサカナ女」のような笑い話も多いのですが、韓国と日本の間にある感情問題について述べる「知ることから全てをはじまる」のように、シリアスなエッセイも収録されています。
 興味深く読んだのは、「マルシチのこと」。進学校だった中学校から、内申点の都合で、いわゆる学力レベルの低い高校に入った鷺沢さん。高校の授業は彼女には楽に分かるのですが、「人間としていろいろなものを感じさせてくれた高校の先生方は今でも『先生』であるが、進学に役立つような勉強のことは何も教えてくれなかった中学の教師は『教師』なのである」(107-108頁)という言葉に考えさせられました。その後、鷺沢さんが作家としてデビューしたときの、中学校の「教師」と高校の「先生方」の言葉も対照的で、悲しいような気分も、嬉しいような気分も感じます。
 一時期教員を志望していたこともあり、いまでも教育関係の話題は特に興味をもつのですが、このエッセイを読んで、昨今の学力問題について考えさせられました。たしかに、指導要領の改訂で、教授内容が削減された頃には、「そんなんで大丈夫かいな」と私も思いましたが、それは、その分「生きる力」をはぐくむためだったのですよね。文科省など、「国」は、子供たちに何を教えたいと考えているのか。そして、親たちは何を子供たちに身につけさせたいと思い、子供たちはどう思っているのか……。
 とても印象的だった話は、「海を見に行く」。鷺沢さんとお姉さんが遠くまで海を見に行った日のことなのですが、これがとても素敵でした。
 思い出したら、これも面白かったという話は多々あるのですが、きりがないのでこのあたりで。
 二日前くらいに読了していたのですが、ばたばたしていて感想を書くのが遅くなってしまいました。





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Last updated  2007.12.13 18:05:01
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