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2007.05.29
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~新潮文庫、2003年~

 伊坂幸太郎さんのデビュー作です。第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞したとか。個人的には、伊坂さんが東北大学の出身で、デビューした頃に、大学生協に特別コーナーが作られたのを覚えています。
 では、内容紹介と感想を。

 仕事をやめ、コンビニ強盗に入った僕―伊藤は、警察官になっていた昔の同級生の城山に捕まってしまう。しかし、パトカーがちょっとした事故を起こした。気付いたときには、伊藤は、日比野という男に連れられて、荻島という仙台から少し離れた島を案内されていた。
 荻島は、支倉常長が帰国後に逃げてきた土地だった。日本が鎖国をしていた頃は西洋と関わりを持っていたが、日本が鎖国を解いてからは、基本的に住民は外との関わりを断った。それから、100年以上の時が流れていた。
 島が「鎖国」の道を選んだ頃から、島には未来も含めてなんでも知っているカカシの優午が立っていた。優午は、なにか事件が起こったときにはその犯人のことを口にするものの、基本的に未来のことは話さない。そんな彼が、伊藤がやって来ることについては、口にしていた。
 「外」と唯一行き来している轟。彼に、伊藤は連れてこられた。彼を案内する日比野は、どこか変わり者として認識されていた。妻が死んで以来、反対のことしか口にしなくなったという画家の園山。郵便配達の草薙。島の「法」であり、一定のルールに基づいて罪人を殺す桜……。伊藤は、島の人々と少しずつ交流をとっていく。最初は信じられなかったしゃべるカカシも、いつのまにか受け入れていた。そんな中、島で大事件が起こる。その優午が畑から引き抜かれ、ばらばらにされていた。…殺されていたのだった。優午は、なぜ自分が殺されることを予期していなかったのか。あるいは、それを人々に話さなかったのか。

 最初は、いつのまにか非日常的な島が出てきて、どこか現実世界とずれのある人々にとまどってしまい、なかなか物語に入り込めなかった……というより、果たしてこの物語を読み終えたときに、面白いと思えるかな、と少し不安になりながら読んでいました。自分が最初から読んでいる作家ならともかく、割と人気作家さんでまわりの人も勧めてくれるような方の作品には、妙に構えてしまうのでした…。が、いつのまにやら物語に引き込まれていました。

 けれど、そんなことは途中から気にならなくなります。あんまり詳しくは言いませんが、優午の死の前後から、いろんなことが微妙な関わりをもってどんどんつながっていく過程が、ものすごく面白いのです。
 オーデュボン、そしてリョコウバトについての話も興味深く読みました。その部分では、本書の『オーデュボンの祈り』というタイトルが、とても素敵だと感じました。
 城山はとにかく不快な人間ですが(こういうゴミみたいな人間でも、肩書きさえあれば偉そうにでき、あるいは人々も疑わずに敬ってしまうのが現実なのですよね…)、ラストあたりでの一件は爽快でした。
 本書の中で、何度も問われている、この島には何が足りないのか。それが分かったところでも、ああなるほどとうなずきました。そして、なにより、それを受けての物語の終わり方が素敵でした。
 これは面白かったです。良い読書体験でした。





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Last updated  2007.05.29 06:55:28
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