のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2007.11.17
XML


~講談社ノベルス、2000年~

 安藤(直樹)シリーズ第5作です。直樹の名前をかっこにいれたのは、今回はどんなかたちであれ安藤直樹さんが登場しないからです。かわりに、安藤裕子さんが主人公の一人となります。
 何度も書いていますが、このシリーズは、既刊の作品の内容が前提となっています。本書についての感想を書く際、過去のある作品とのつながりを指摘することもありますので、先入観なしに作品にふれたい方は、以下の感想にご注意ください。
 では、いつものように内容紹介と感想を。

ーーー

 中学生の小林英輝は、実質的な活動をしていない天文学部に属していた。メンバーは、小林の他、安藤、彼女を快く思っていない坂本、美麗にして左手の小指の欠けた織田、地味な石井、快活な山根の五人。
 ある日、いつものように6人は理科室にいた。とつぜん、織田が安藤に声をかける。 ―じゃあ、これから俺、死ぬから。
―さよなら。

   *
 織田の通夜の際、彼の保護者であった叔父夫妻から、小林は、織田が書いたという遺書の内容を聞かされる。自分の死に立ち会った人間を、彼が生まれた島に向かわせてほしいというのだった。
   *
 織田の叔父夫妻の他、好々爺然とした中野、寡黙な村木と遠藤のいる邸宅へ、五人は招待された。織田の死より、坂本は徹底的に安藤を責めており、罵詈雑言を浴びせ、それは安藤へのいじめとなっていた。小林は、安藤と坂本が一緒にくることを案じたが、安藤はつねに淡々としていた―。
 そして、初日の夜。小林たちは、アルミスタンで捕れた羊の肉をふるまわれた。安藤は、それを食べていなかったようだったが…。
 翌日。浜辺で小林たちを船に乗せて島につれてきたスギモトが死んでいるのが発見された。邸宅に戻ると、電話線は切断されていて。いつのまにか、坂本も失踪していた。小林たち四人は、村木の案内で、だれかに助けを求めるべく、島の反対側に向かう。しかし、島にあるスギモトの家では、彼の妻も殺されているのが発見された。スギモトの遺体同様、その腹部は、逆さにしたV字の形に切られていた。
 そして村木は、島にいたという、殺人犯カズマの話、カニバリズムの話をはじめる。

ーーー

「じゃあ、これから俺、死ぬから」。今回、安藤シリーズを再読してきているのですが、『時の鳥籠』を読んだときに、このセリフもあって、こんなつながりがあったのかと、あらためて驚いたものです。
 というんで、時系列としては、この物語は『時の鳥籠』よりも前の話ということになります。そして、安藤さんとともに島に渡り事件に巻き込まれた小林さんは…。<反転> その最期は、『頭蓋骨の中の楽園』で描かれることになりますが、こんな伏線があったのかと衝撃を受けました。 <ここまで>


 カニバリズム。繰り返させる殺人。中学生たちが、孤立した島で繰り広げられるなんとも壮絶な事件に巻き込まれます。すさまじい物語ですね…。
 けれども、今回は割合、いわゆる普通のミステリとしての性格も強くて、楽しく読みました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.11.17 06:53:44
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: