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2008.04.30
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筒井康隆『最後の伝令』


 筒井康隆さんの短編集です。まずは収録作品のタイトルを紹介した上で、印象に残った話についてコメントを。

ーーー
「人喰人種」
「北極王」
「樹木 法廷に立つ」
「タマゴアゲハのいる里」
「近づいてくる時計」

「公衆排尿協会」
「あのふたり様子が変」
「禽獣」
「最後の伝令」
「ムロジェクに感謝」
「二度死んだ少年の記録」
「十五歳までの名詞による自叙伝」
「瀕死の舞台」
ーーー

 まず、 「北極王」 がぐっときました。両親を亡くしている少年は、家族と旅行ができないため、夏休みの宿題の作文が書けないだろうと友達に言われます。そんな少年に、北極王から招待の手紙が届きます。少年は、電車の切符を手に北極に向かうのでした。…こういうことかな、と思われる設定もありましたが、それも含めて、優しい物語だと思いました。
「樹木 法廷に立つ」
「近づいてくる時計」 は、主人公が夢の中で何度も訪れている時計店の話。主人公はそこで、「人生の時計」と「近づいてくる時計」に興味を持ちますが、店の主人はあまりそれらに関心をもってほしくない様子。
「九死虫」 は、9回生きることができる虫の話。主人公は、既に8回死んでいて、最後の生を生きている虫で、この虫の遺言というスタイルです。
表題作 「最後の伝令」 は、間もなく死んでしまいそうな人間の体内で繰り広げられている物語です。
「二度死んだ少年の記録」 は、ルポタージュ風の構成で、ぞくぞくしました。いじめられていた少年が飛び降り自殺をしてから、警察などが到着するまでにかなりの時間があることを不審に思った「おれ」は、事件について調べていくうちに、衝撃的な事実を知ることになります。
「瀕死の舞台」

 特に内容紹介は書きませんでしたが、「タマゴアゲハのいる里」は詩情がある物語でした。「禽獣」も同じくですが、こちらはなんとも優しさを感じる物語でした。「瀕死の舞台」も感動的です。
 どたばたに大笑いしたりはらはらしたり読む…というよりは、もう少し落ち着いた物語を、ゆったりと味わいながら読む進める感じでした。
(2008/04/24読了)





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Last updated  2008.04.30 06:44:07
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