のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2008.08.04
XML
迷路荘の惨劇

~角川文庫、1996年改版初版~

 金田一耕助シリーズの長編です。文庫で500頁と、読み応えもあります。
 では、内容紹介と感想を。

ーーー
 昭和25年(1950年)10月。ホテル名琅荘の主人、篠崎慎吾からの依頼で、金田一耕助は静岡県の名琅荘を訪れた。富士山をのぞむそのホテルは、もともと明治時代に古舘種人伯爵が建てた建物であった。内部のいたるところにどんでん返しや秘密の通路があり、庭も迷路のように入り組んでいるところから、迷路荘ともいわれるその建物では、20年前に恐ろしい事件が起きていた。
 種人の息子、一人が嫉妬に狂い、妻を斬り殺し、従者の尾形静馬も殺そうとその左腕を切り落としたが、逆に自分が斬り返された…そう思われる事件。尾形は「鬼の岩屋」と呼ばれる洞窟に逃げ込み、その後その生死は不明だった。事件以降、名琅荘の周囲では、左腕のない男がたびたび目撃されているという…。
 一人の息子、辰人の代に名琅荘が銀行の質流れになっていたところを、篠崎が手に入れた。篠崎はまた、辰人の妻であった倭文子も自分の妻としていた。
 昭和5年の事件から21回忌ということで、辰人などの関係者も呼ばれる中に招待された金田一耕助。実は前夜に、左腕のない男が篠崎からの案内状をもって客としてやってきたものの、抜け穴のある部屋から消えてしまったというのだった。

ーーー

 フルートの音色、洞窟、迷路のような館…いかにもの、わくわくする道具立てです。それらがただの雰囲気作りではなく、全て生きているのが良いですね。
 前半のアリバイ調査は、一人一人の聞き取りということで、冗長な感じもあったのですが、その後はどんどんひきこまれました。洞窟の中の惨劇など、涙なしには読めません。
 昭和5年の事件を解決できなかったことから、今回の事件に意欲を燃やす老刑事の井川さん、穏やかでありながらてきぱきと指揮する田原警部補などなど、警察の人達もみなさん魅力的で良かったです。
 譲治くんと金田一さんが言い争う場面も、緊迫感があってどきどきしました。どの登場人物も生き生きしているのも、横溝さんの作品の魅力だと思います。
 面白かったです。
(2008/08/03読了)


*表紙画像は横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.08.04 06:41:48
コメント(6) | コメントを書く
[本の感想(や・ら・わ行の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: