のぽねこミステリ館

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2008.11.26
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~双葉社、2007年~

 坂木司さんの短編集です。5編の短編が収録されています。
 本作では、大学生の「僕」、伊藤二葉さんと、その「先生」、中学生の瀬川隼人さんが活躍します。
 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。

ーーー
「一話 先生と僕」 恐がりで、殺人の起こる本なんて読みたくもない僕は、大学入学後最初の友人に推理小説研究会に誘われた。その日、公園で少年に声をかけられた。これが、「先生」との出会いだった。
 勉強もできる「先生」―隼人は、親の目をごまかすためのアリバイ的な家庭教師になってほしいという。そして僕は、彼からミステリについて教えてもらうことになっていく。
 そんなある日。二人は駅ビルの本屋で、ギャル向け雑誌に不審な付箋が貼られていることに気付く。はたして、その目的は…。

「二話 消えた歌声」

「三話 逃げ水のいるプール」 友人に誘われ、僕は隼人とともに区営プールに遊びに行く。ところが、そこの職員がどうも不審で…。僕はその男が、まるで暗号のようなものを書き留めているのに気付く。はたして、その意味は。

「四話 額縁の裏」 穏やかな無料のギャラリーで、穏やかな女性といろいろ話をするのが楽しくなってきた僕。その前に、隼人から詐欺の見分け方についても注意するよう言われていたし、しっかり用心もしていた。それでも隼人は、そんな僕をやけに心配する。

「五話 見えない盗品」 隼人がハムスターを飼い始めた。ハムスター用のヒーターを買おうと調べごとをしていると、ある種の犯罪が行われているのを確認する。その犯行を未然に防ごうと、次に狙われるはずの店で待機してみるものの、犯人らしい人物は現れない。それでいて、犯行は行われているようなのだった。
ーーー

 僕の、見たものを写真のように瞬時に記憶する能力が、隼人さんの推理を調査を補っていくという、なかなか面白い設定でした。そしてこの作品、タイトルで、少年が「僕」で大学生が「先生」として、謎に挑んでいくのだろうと想像していたのですが、それが逆だったというのも楽しかったです。
 作中、おそらくそれぞれの事件と関連もするような、殺人が起きないミステリが中心に紹介されます。ここで紹介されている作品はほとんど読んだことがないですが、ちょっとした本の案内みたいな性格もあって、良いですね。
 坂木さんの今までの作品では、不快になるようなこともしばしばでしたが、今回はあんまり不快な気持ちにならずに読みました。行われる事件としては卑劣で不快きわまりないものもあるのですが…。私の気の持ち方も変わってきたのかもしれませんが、穏やかに読みました。
(2008/11/24読了)





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Last updated  2008.11.26 06:44:43
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