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2009.05.31

坂木司『短劇』

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24672)

カテゴリ：本の感想（さ行の作家）

～光文社、2008年～

　坂木司さんのショートショート集です。痛みもありながら、基本的には優しい穏やかな物語を発表してこられた坂木さんですが、本書に収められた多くの作品は気持ちの悪い作品となっています。
　まずは収録作品を掲げた後、印象に残った作品についてコメントを書いてみます。

ーーー
カフェラテのない日
目撃者
雨やどり
幸福な密室

迷子
ケーキ登場
ほどけないにもほどがある
最後
しつこい油
最後の別れ
恐いのは
変わった趣味
穴を掘る
最先端
肉を拾う

物件案内
壁
試写会
ビル業務
並列歩行

秘祭
眠り姫
いて
ーーー

　まずは、気持ちの悪い作品の方から。「ＭＭ」はホラーテイストで、面白いと思ったのですが、これはかなり応用が利きそうな気がしました。「迷子」にはやられました。
　「試写会」も面白かったです。「世にも奇妙な物語」に出てきそうな作品です。

　さわやかな作品としては、「最後の別れ」が良かったです。タイトルと裏腹に、どこか希望も残された物語です。「物件案内」も、謎解き的な要素もあり、ラストのさわやかさも素敵でした。

　帯の文句はもうちょっとどうにかならなかったのかと思いますが、ショートショートの方はバラエティ豊かで良かったです。中には、？な作品もありますが、坂木さんのいろんな作風にふれられてなかなか楽しい一冊だと思います。

(2009/05/25読了)

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