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2009.12.07
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七つの仮面

~角川文庫、1987年(1979年初版)~

 角川文庫旧版(緑三○四シリーズ)では最後の、金田一耕助シリーズの短編集です。七編の短編が収録されています。
 個人的には、『本陣殺人事件』についで、二番目に読んだ横溝さんの作品ということで、思い出深い一冊です。
 では、それぞれについて簡単に内容紹介と感想を。

ーーー
「七つの仮面」 事件年代記載なし。
 かつては聖女と言われていた美沙は、山内りん子によって堕ちてしまった。りん子からなんとか逃れようとしたが、そこでは三人の男たちと関係をもち、ついに人殺しにまで堕ちてしまう…。

「猫館」 昭和35年(1960年)6月。


「雌蛭」 昭和3X年8月。
 金田一耕助のもとに、高級アパートの一室に忍び込み、自分のバッグをとってきてほしいという女からの依頼がはいる。女の切迫した様子に、変装をして問題の部屋に訪れた金田一耕助は、そこで一組の男女が殺されているのを発見する。二人の顔は、硫酸でただれていた。

「日時計の中の女」 事件年代記載なし(昭和33年以後)9月~11月。
 人気推理作家・田代裕三の新居で、妻の啓子は心労をかかえていた。その家のもとの持ち主の不穏な噂を知ったこともあり、夫とその従兄で自分の友人でもある可南子との仲も疑っていた…。そして、庭の日時計を移動させる作業のなかで、そこから女の死体が発見されたのを機に、彼女の恐怖は一気に高まり、彼女は金田一耕助のもとを訪れる。

「猟奇の始末書」 事件年代記載なし。
 金田一耕助は、中学の先輩・三井参吾に招かれ、海岸側にたつ彼の別荘を訪れた。三井は、その別荘から見える洞窟の中で、男女がいちゃつくのを見るのを好んでいた。そして、彼らをびっくりさせようと、矢を射るというイタズラをするのだが、その洞窟で、矢で射殺された女性が発見され…。

「蝙蝠男」 事件年代記載なし。
 大学受験を控えた由紀子は、ある夜、向かいのアパートの一室での恐ろしい光景を目撃する。カーテンに写った蝙蝠のようなかっこうをした人物の影が、女性を殺すような光景だった。翌日、その部屋で警察たちが捜査しているのを見て、自分が重要な証言者だと分かった彼女は、父親に連れられて金田一耕助のもとを訪れる。

「薔薇の別荘」 昭和33年5月。
 女傑として知られる吉村鶴子は、その別荘に親族たちを呼び集めた。不自由な身の自分を支えるお手伝い兼秘書の三枝子も含め、総勢13人となる。しかし、14人目がくるかもしれないと言っていた鶴子は、全員の前に姿を現す前に、何者かに首を絞められて殺されていた。三枝子たちがかけつけたとき、ドアには鍵がかかっていたが、中の遺体のそばには、鍵が落ちており、事件は密室殺人事件の様相を呈することになる。
ーーー


 そういう観点でいくと、金田一さんが変装をするために洋服を着る「雌蛭」や、学校時代の先輩たちが事件関係者となる「猟奇の始末書」はとても楽しいですし、「蝙蝠男」は、高校生が蝙蝠のような人間の影を目撃するという、どこかジュヴナイルに通じる雰囲気をもっていて、興味深いです。

 というんで、(結末の唐突さに目を瞑れば)全体的に楽しみながら読むことができました。

(2009/12/03読了)





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Last updated  2009.12.07 07:06:59
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