のぽねこミステリ館

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2009.12.18
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~講談社ノベルス、2009年~

 第42回メフィスト賞受賞作です。淡々とした文体ですが、不思議な安心感と、心がじくじくと痛むような感覚を味わいました。
 いつものような形での内容紹介ではなくて、つらつらと記事を書いてみます。

 殺人未遂の容疑で事情聴取を受け、そのまま留置場にとどまった僕は、13年前の夏を思い出します。
 裏山で、首を吊ろうとしていた少女、「セミ」との出会い。そして「セミ」がプールの底に沈んでしまうまでの、1週間を。そしてさらに過去に遡る、いくつかの悲しい出来事を。
 その回想のなかでは、「セミ」とともに、同級生の由利さんのことも大きな意味を持っています。決してお互いに愛は感じないのに、一緒にいると安心できる間柄。ところが僕には「セミ」と過ごし、あるいは彼女のことを考える時間が増えていきます。そして、7日目を迎えて…。

 13年前―1995年の夏には、携帯電話はまだ普及していませんでした。物語中の現在(2008年)、携帯電話は普及してしまっていますが、やはり携帯電話の普及について思うところは同じだなぁ、と感じます。
 あるいは、駅の伝言板。携帯電話が普及する前、そして家の電話を使うことを拒んだ「セミ」は、駅の伝言板で僕に連絡をとります。


 物語は僕の一人称で進みますが、そういえば、彼の心情はあまり地の文には出てこなかったような気がします。たしかに、自分の気持ちについての説明のようなものはありますが、心の底は隠している、というか。だからでしょうか、冒頭にも書いたように、とても淡々とした文体です。特に印象に残ったのは、(念のため文字色反転)(ここまで)。

 タイトルと表紙で、間違いなさを感じますが、想像していたとおり、内容も間違いなく素敵でした。

(2009/12/15読了)





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Last updated  2009.12.19 07:47:57
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