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2011.11.04
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俗物図鑑

~新潮文庫、1976年~

 筒井さんの長編小説です。それでは、内容紹介と感想を。

ーーー
 営業第二課長(人呼んで接待課長)の雷門と、営業庶務の平松礼子は、お歳暮会議を行う中で、関係をもちそうになった。…その後、礼子はとつぜん辞職させられる。
 辞職した礼子は、出版業を行っている兄の依頼もあり、お歳暮会議の成果をふまえ、贈答品についてのハウツー本を書くことになり、雷門がその原稿をチェックする。
 この頃から、雷門は特殊な知識をもつ人たちと知り合いになっていき…。
 自らも接待についての本を書いた雷門は、礼子とともに梁山泊というアパートに住み始める。そして雷門は、特殊な知識をもつ人々を梁山泊に集め、梁山泊プロダクションは評論家たちの集団となる。
 盗聴、横領、放火、ドラッグなど、犯罪的な領域にも詳しい人々からなる梁山泊プロダクションは、マスコミの注目を集めるも、同時に「世間の良識」を振りかざす主婦たちから激しい非難を向けられることになり…。


 久々に筒井さんの作品を読みました。やっぱり面白かったです。
 数々の細分化された領域の評論家たちが多数登場する状況は、一緒にしてはいけませんが、どこか近頃している某テレビ番組を連想してしまいます(その番組は大好きでよく見ています)。
 文芸評論家と対決するシーンでは、やはり雷門さんの意見に同意しながら読んでしまいました。現代について、その文化(文明)はもはや一つの枠組みの中でとらえられるものではない、という論調ですが、それは本書刊行後30年以上経つ現在についても、やはり妥当するのかな、と思います(マスコミなどでは、「○○女」「○○男子」など、種々多様なレッテルが量産されているのが、ひとつの特徴かもしれませんね。雰囲気で書いていますが…)。
 本書でもう一点、楽しく読んだところを挙げると、それは、梁山泊の人気が上がる中で、評論家志願者が殺到する章です。軽快なリズムでのやりとり、そしてドタバタありと、面白かったです。
 筒井さんの作品は、安心して楽しく読めます。

***

 久々の記事となりました。
 何冊か、読了したものの感想を書いていない作品もありますが、やはり感想を書かないとすぐに記憶が薄れるもので…(場合によっては読んだかどうかも不安に…)。
 というんで、やはり少しずつでも、読書記録をつけていきたいと思います。
 もっとも最近は、専門書(洋書)をゆっくりと読む時間が長くなってきているので(そして疲れなどでだらだら過ごす時間も長いです…)、読書ペースはゆっくりに変わりないはずですけれど。
 とまれ、久々にゆっくりと読書をする時間がとれて良かったです。





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Last updated  2011.11.04 21:47:46
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