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2014.08.02
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~講談社ノベルス、2004年~

 名探偵・石動戯作シリーズの長編です。殊能さんが亡くなってしまった今、本書がシリーズ最終作となってしまいました。あらためて、殊能さんのご冥福をお祈りいたします。

 物語は、750年ほど前に十字軍に従事していた領主エドガー・ランペールの亡霊が、その城を日本に移築しテーマパークにした社長に取り憑いている―というところから始まります。エドガーは、密室状態であった塔の中での自分の死という謎を、誰かに解き明かしてほしい、と重役に伝えていました。そこで、石動さんが呼ばれることとなります。
 エドガーの死の謎を解くべく、石動さんは重役たちに中世風のコスプレをさせ、事件の再現を試みますが……。
 一方、重役たちは社長派と常務派でいがみあっていました。そんな中、現実でも、殺人事件が起こってしまいます。

 最初に読んだときは、たぶんそんなに楽しめなかったと記憶しています(内容自体はすっかり忘れてしまっていましたが)。ところが今回の再読では、それは楽しく読めました。
 中世に生きていたエドガーが、こんにちの日本のあれこれに驚く様子(バイクは一つ目の馬ですし、自動ドアは自分で勝手に開く魔法の扉です)、「HATO BUS(アトー・ビュス)」などローマ字の読み、「エルメスもあれば良いのに」という言葉へのリアクションなどなど、とにかく面白いです。殊能さんの作品の魅力は、こうしたユーモアセンスが抜群なところにありますね。
 今回も石動さんは道化役のような役回りですが、わたしが勝手に対になっていると考えている 『黒い仏』 よりは正攻法の解決となってしますし、自分の好みにもぴったりでした。
 殊能さんの作品を再読してきましたが、楽しい一時となって良かったです。





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Last updated  2014.08.02 21:38:44
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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