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2016.10.12
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 腕貫探偵シリーズ第2弾です。6話の短編が収録されています。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――
「体験の後」 行きつけの店、<てあとろ>で夕飯をとろうとしていたとき、3人組の迷彩服の男たちが店に乱入してきた。客たちを脅し、オーナーに金を要求する男たち。しかし、落ち着き払った葬儀屋風の客が相談ごとはないかと尋ねると、男たちは挙動不審に。そして大騒動の後、葬儀屋風の男は突飛なことを言いだして…。

「雪のなかの、ひとりとふたり」 腕貫探偵に相談ごとをするため、ユリエは彼が行きそうな店を探し回る。バレンタインデーの日にめでたく彼を見つけたユリエは、気になる事件について相談する。彼女が住むマンションの住民が、殺人事件で逮捕された。しかし、住民が一晩中乗り回していたという車が、彼女がたまたま撮った写真には、雪が積もった状態でマンション前にとまっていた。果たして事件の真相は…。

「夢の通い路」 高校生の頃、憧れていた女子生徒と自分自身が写った写真が見つかった…。自分は、全くその写真を撮った記憶がない。同級生たちに話をするうちに、写真を撮った数日後、彼の家が火事になっていたことを思い出していく。それでも、写真の記憶は戻らない。彼の記憶にふたをしている事実とは…。

「青い空が落ちる」 趣味のなさそうな元高校教師が、病死していた。事件性はないと思われたが、死の直前、彼女が多額の預金をおろしていたことが判明する。このことと、彼女の死にはつながりがあるのか。また彼女は、なぜ莫大な金額をおろし、どのようにそれを使ったのか。

「流血ロミオ」 夜中に、隣家の同級生と秘密のおしゃべりをして楽しんでいた中学三年生の男子は、女子に誘われて、彼女の勉強部屋へと窓から飛び移る……。後に、女子は死体となり、彼自身も大けがをおっていた。女子のおじは、飲酒運転で事故を起こし死亡。はたして一夜のうちに何が起こったのか。

「人生、いろいろ。」 同棲している彼女の殺害計画を立てた大学生だったが、せっかくのアリバイ工作もむなしく、彼女は想定していた時間に約束の場所に訪れなかった。彼女の殺害をあきらめた彼だったが、同じ日に、実家で盗難事件が起こっていたことを知り…。


 本作も面白かったです。
 前作では、非常に寡黙で、必要なことしか言わないような腕貫探偵さんですが、プライベートとなると案外しゃべります。特にユリエさんとの掛け合いが楽しいですね。女子学生たちのためにうどんを買ってきたりと、案外(?)気配りもできますし、おいしいものに関する知識も抜群です。名前も年齢も不詳ですが、親しみやすいキャラクターであることは判明します。
 ユリエさんとの掛け合いが楽しめる「雪のなかの、ひとりとふたり」、物産展でのやりとりが楽しい「流血ロミオ」が、特に面白く読めました。
 同じく「流血ロミオ」、そして「青い空が落ちる」、冒頭の「体験の後」は、特に、見ていたものが真相でがらりと反転するダイナミズムを楽しめます。「青い空が落ちる」は、タイトル、物語のダークさというかもの悲しさというか、そういった部分もふくめて味わい深い1編でした。

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Last updated  2016.10.12 23:20:04
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