raison d'etre (存在価値)

raison d'etre (存在価値)

2005年10月14日
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結局、迷い迷ってもといたところ、と書きましたが
その、もといたところ、にいた頃に読んでいた本を改めて読み返してみました。

その本は出口先生という大学受験の現代文の予備校教師としてはおそらく日本一有名で
かつ自分の知る限りでは唯一現代文を超えた、更に上位の部分まで教えてくれる先生です。
(あ、スピリチュアルという意味ではないです:笑)
本の名前は『きのうと違う自分になりたい』中経出版で、丁度浪人生で
人生に一番迷っていた頃に読んだ本です。(いかにも、って感じのタイトルですよね)

さて、この本は個人的に当時非常に衝撃を受けた箇所があったということで

当時は気がつかなかった大切な考え方がたくさん含まれていました。
こんな本を当時の自分は読んでいたとは、タイトルに魅かれたとはいえ
良い選択だったと思いました。

もともと、当時は環境問題に興味があって農学部を志望していたんですが
環境問題といっても非常に広範に渡る分野なので詳細な専攻を決めかねていたのと
あまりに深刻な問題であるように見えたため、焼け石に水であるように感じられて
どういう道を辿ろうか、非常に迷っていた時期でした。

そんなときに、この本の中でこんなくだりを見つけました。
(長いけど引用します。著作権大丈夫かな…笑)
相手の立場に立ち考えるためには想像力が必要であり、同情というのは世間で言われている
マイナスのイメージのものではなく、相手の気持ちを理解するために必要な感覚である。



あなたが、居間でテレビを見ていたとする。画面にはどこかの国の戦争が映し出され、両親を殺された幼い子供が、親の死体にすがって泣いている。
可哀相に。
誰もがそう思うだろう。
だが、はたしてそれが同情であり得るのか。それが同情になるにはいったい何が必要なのか。
同情とは、相手と同じ感情を自分の中に抱く好意を指すと、先に述べた。

その日の寝るところ、食べるものもないかもしれない。しかも、子供というのは独力で困難な状況を克服することができない。そのときの子供の心には、悲しみや絶望以前に、言葉にならないほどの恐怖が渦巻いているのではないだろうか。
そのうえ、子供は大人以上にむき出しの繊細な神経を持っている。そうした子供の感情と、もし私たちが同じ感情を抱くことができるのなら、それは素晴らしいことではないか。そのためには、強力な想像力がいる。
もちろん、まったく同じ感情を抱くことなど不可能で、要は程度の問題である。違った環境に置かれた私達が、ほんの少しでもこの子供と同じ感情を抱くのならば、居ても立っても居られなくなるはずである。
それでも、私達は何もできないというジレンマに立たされるであろう。でも、こういった想像力を身につけている人間は、必ず人生のどこかで何かをするだろうし、少なくともその人の中には弱いものに対する優しさが芽生えるはずである。


こんな文章でした。
この文章を読んで、まさに強烈なジレンマに襲われたのを憶えています。
もし自分がそんな状況にいたとしたら、そう考えると恐ろしいという言葉では
言い表せないくらいの真っ暗闇に放り込まれたような気分になり、
それと共に、今そんな状況にいる子供が数多くいるにも関わらず自分は何一つできることが
ないということに、壮絶なジレンマを抱えました。
人生のどこかで何かをするだろう。きっと自分はそうだろう。
そう直感したことを、今でもはっきりと憶えています。

もっとも、それからもう何年も経っていたので、そんな気持ちはすっかり薄れて
いつの間にか自分の事で精一杯になりすぎて、人の気持ちを考えるとか、
相手の立場に立ってみるとか、そんな余裕をすっかり無くしてしまっていました。
そんな中、前の日記で書いたような大きな気づき、原点回帰をすることができました。
上に出した文章は、自分の原点ってどこだろう、と考えたときに真っ先に思いついた
ものだったんです。理屈でも感情でもなく、何もしなくても心の底から湧きあがってくる、
自分でも止めることのできない想い、それがあの文に書かれていました。


そこで、自分は改めて、その想いに素直に生きてみようと思います。






…とは、言えません(笑)


当時は、何があっても上の文にあったような子供達のために何かをしたい、
自分の人生をそれに捧げたい、それくらいの気合を入れていました。
しかし、そうやって人のために、という気持ちだけでは不十分なんじゃないか、
そう思えるようになったのは、最初に読んだときからの成長なんでしょうか。

もし、自分が非常に辛い立場にあったとして、それを助けてくれる、救ってくれる人が
現れたとしたら、どんなにか感謝することでしょう。それこそ、一生ご恩は忘れません、
という位の気持ちになるでしょうね。でも、その人がもし自分を助けるために
家族を捨てていたり、自分は幸せだと思えていなかったりしたら、
その事をもし助けられた方が知ったら、その時にはどういう気持ちになるんでしょうか。
少なくとも、手放しに喜ぶことはできないはずです。

先日、 AYAねえ さんのブログで書かれていたのがヒントになったんですが
自己犠牲、というのは一見非常に崇高なものに見えるかもしれないですが、
それが本人が「自分を犠牲にしてでも」というような、ある種後ろ向きの動機で
なされた事であるときには、手放しに賞賛できるものではないように思うんです。
もし、自己犠牲というものが本当の意味で素晴らしいとすれば、
それは本人には犠牲という感覚はなく、ただ自然にそれをすることがその人にとっての
喜びであるからやっているだけ、それが周りからは「犠牲」に見える、
という場合だけなのではないでしょうか。そんな風に思ったんです。

そう考えたとき、確かに自分は何かをしたいし、するだろうけれども
その時に自分を犠牲にしてまで、という気持ちではいけないだろうと思ったんです。
そうではなくて、自分がまず幸せだと思えること、それが最優先で、その前提があって
初めて誰かに手を貸すことが本当に意味のあることになるのではないか、
今はそんな風に考えるようになりました。
もちろん、何かをしたいという気持ちに変わりはありません。
むしろ大きくなっているくらいです。
でもだからこそ、安易な手助けはしたくないとも、思ったんです。
もっとも、それが正しいのかどうかは、誰にもわからないと思うんですけどね。

いずれにしても、自分としてはそこまで考えが至ったということは
これまでの長い試練の時間も無駄ではなかったのかな、と思えるきっかけになりました。
まだまだこれからたくさんの気づきや学びがあるとは思いますが、
ひとまず自分の芯になってくれそうな感覚をつかむことはできたと思います。
まあ、実際に現実的にはなかなか簡単には事は運ばないわけですが…

しばらくの間スピリチュアルなものに浸っていたこともあって、
ここで書いたことはかなり観念的で抽象的なことではあるんですが、
これはあくまでも自分が学び、考えたことをただ文章にしただけです。
それが結果としてこうしたものになるというのは、もともと自分は
スピリチュアルな素質があったということなんでしょうかね?(笑)

いずれにしても、今言えることは、今までで最も確かな一歩を踏み出すことが
できたということだけですね。それが正しいのかどうかは、今はわからないですが。

ちょっと堅い話が続いてしまったので、今度はもっと柔らかい文章にしたいなぁ。

では、良い週末を☆彡






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最終更新日  2005年10月15日 04時32分32秒
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