真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2005年07月05日
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神社の名前は、「仁壁神社(にかべ)」。奉納されて、すでに3年が経過した。

写真にあるように、拝殿の天井から吊り下げられて、風に揺らいでおり、参拝者はいつでも見ることができる。

この「大玉」たる立体は、一番外側の枠組みの構成が、「大菱形12・20面体」という名称である。制作当初は、この外枠の形状しか分からず、内部の構造については見当がつかなかった。

しかし、手探りで掘り進めて言った結果、一番内側にある核の構造を含めて、5層構造になっていることがわかった。すべて、同じ長さの軸線(綿棒)だけを用いた構成で、総計約2000本の綿棒を結んで造った作品である。(1998年・制作)


ところで、この「大玉」の奉納された「仁壁(にかべ)神社」は、山口市内で最も古い神社である。御祭神は、住吉三神・アジスキタカヒコネ命・シタテルヒメ命。

全国一の宮巡りなどを含めて、津々浦々の神社を参拝してきて、私なりに少しずつ感じてきたこと、それはそれぞれの神社に祭られている御祭神とは、本当は何を意味しているのか・・・ということであった。

分かりやすい例では、伊勢神宮の主祭神のか神名は、天照大神(あまてらすおほみかみ)である。その神名の本質は、「太陽」であり、これが投影された呪物として「三種の神器」の「鏡」があるわけである。

沖縄の古代祭祀が物語るように、「太陽」を祭る神官は、女性シャーマンであった。(現在の伊勢神宮も、宮司は女性である。)もともと「太陽」を祭る立場であった女性神官の祭祀のあり方が、時代の変遷とともに形骸化していき、祭祀に参加する一般信者から強く慕われるかたちで、神として祭られるようになる。つまり「人が神になる」という経緯もあったことは、天神信仰などを含めて、すでに多くの歴史研究家が述べていることである。


これが、神社参拝の心構えや御祭神にたいする、一般的な捉え方ではないだろうか。


さて、この「仁壁神社」の御祭神の住吉三神は、海の神様である。神名は、ソコツツノヲノ命・ナカツツノヲノ命・ウワツツノヲノ命の三柱の神である。

ご存知の方もあると思うが、この三柱の海神様は、オリオン座の三星(みつぼし)だと、昔から言われているのである。なぜ「星」が「神」となったのか、そのいきさつを紐解いていくと、これがなかなか面白い。

古代、というよりも明治以前の江戸時代までは、交通手段の要は「船」であった。
船の航海の安全は、昼間はもちろん大切だが、とりわけ夜間の航海の安全が問われたと思われる。その真っ暗な海上で、航海の安全を約束する目印となったのが、天空の夜空を彩る星々だった。その夜空の星々のなかで、一際目立つ目印の星として、オリオン座の三星が、航海の安全を導く星として尊ばれていきました。

この三星は、夜の船舶の航海の安全を約束する道しるべの星として尊ばれ、時代の変遷のなかで、やがて海の神様として祭り上げられていったということである。

住吉神社で全国的に有名なのは、「摂津国(大阪府)一の宮 住吉神社」・「長門国(山口県)一の宮 住吉神社」・「筑紫国(福岡県)一の宮 住吉神社」の三社である。九州北部の博多湾の海域から、瀬戸内海の東西全域を、住吉系海人族が主軸となって、船舶の運航や貿易を含む海運業を司っていた時代があった・・・それをほうふつとさせる神社配置である。


さて、山口市の古社「仁壁(にかべ)神社」は、地域を流れる「ふしの川」の上流域にあり、かつては何故こんな川上に海の神様を祭るのかという素朴な疑問を持っていた。歴史を調べていくと、昔のこの地域は大きな入り江になっていて、かなり上流まで船が遡行していたということである。さらに、昔の港は、現在のように海岸付近につくるのではなく、海水の混じらない川の上流の船で行ける限界のところに港をつくっていたようである。

昔の船は木造だったので、海水に船舶を常に浸けていると、フジツボなどが付着して老朽化が激しいため、船舶を長持ちさせるという知恵もあって、川上の真水の港に接岸していたということである。

以上のことを考え合わせてみると、何故こんな山奥の盆地に、海神の住吉三神を祭る神社があるのかということが、かなり明確に分かってきたというわけである。

さらに最近になって、もう二柱の祭神、アジスキタカヒコネノ神と、シタテルヒメノ神に対応する星が明確となってきた。それは、日本神話に登場する神々を、天空の星々と関連させて読み解くと、アジスキタカヒコネはオリオン座の赤星(ベテルギウス)であり、シタテルヒメはこれもオリオン座の白星(リゲル)となるようである。



かねてより、「古事記」の冒頭にある天地初発の神、[ 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)]は、夜空の天空に輝く星々の中心に座す「北極星」のことだと、研究者のあいだでささやかれたきたことは知っていた。ということは、八百万の神々とは、北極星を中心として廻る天空の星々と言えるのではあるまいか。


しかし考えてみると、最近になって、今まで謎と感じてきたことが、少しずつ自分なりに解明できつつあるなかで、しかもこれをリアルタイムで公開していくことになるとは思いもしなかったことである。

日本の歴史や文化の本質を知りたい、そして極めていきたい、という思いというか願いが、津々浦々の神社巡りに自分を導くことになり、その過程で授かってきた立体の構成法における究極の玉が、結果的に地元の神社に奉納される運びになった
のだと思う。

かつて、この「仁壁(にかべ)神社」は、地域を流れる大川の「ふしの川」流域(旧・吉敷郡/現在の山口市・小郡町・阿知須町・秋穂町)の総鎮守の社であった。その「ふしの川」の下流域に今世の生を受けた私の作品が取り上げられ、しかるべき社殿に奉納されたことは、実に有り難い事だと感じる今日この頃である。







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最終更新日  2005年07月06日 02時48分11秒


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