田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2005年11月15日
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カテゴリ: 硬派
9月の末だろう。
電車で学生とおぼしき、男性を見た。
旅行帰りなのだろう。
緑っぽく焼けた肌が物語っている。

大きな鞄を足の前においていた。
スーツケースが丸くなったような形だった。
軽い素材でリュックのように背負いもできる。
さらに小さな鞄がコバンザメのようについている。
バックパックも使いやすくなったものだなと僕は思って眺めていた。


何度も読み込んでいたのだろう。

懐かしかった。
僕にもそんな時代があった。

大学に入った頃、僕は漠然と一人旅をしたいなと思っていた。
でも、できるわけがないと感じていた。
遠くの夢みたいなものだった。
特別な人間だけが、一人旅をできるものだと、思っていた。
勘があり、度胸があり、さらに金もある。

きっと、大学入学当時の僕がバックパッカーを見ていたら、こんな気持ちだっただろう。
「すげえなぁ。憧れるなぁ」
それは大人への憧憬、憧れににた夢である。


旅行好きの友人が方向音痴だったからだ。
大阪の人にはわかると思うが、彼は心斎橋から難波に歩こうとして、本町にいってしまう男だった。
そんな彼を見て、俺にもできるわ、と思った。

そして、できた。

ただ、一人旅というのはやっているときは結構、退屈である。

ホテル探しに多くの時間を費やし、交通手段の選択で頭を使う。
そして、朝はたまらなく、暇である。
当時、僕は日本では髭をそらなかったが、ベトナムに旅行したときは髭をそった。
本当に朝することがないのだ。
しかも、ベトナム人はめっぽうに朝が早い。

家に帰ってきて、姉が驚いた。
「あんた、アジアに旅行にいってコギレイになってるよ」と。
僕は顎を撫でながら、僕はこう答えた。
「うん、意外と普通に旅行できたよ」僕は続ける。「誰でも、できるものだよ」

だけど、一人旅から日常に戻ると、また、一人旅に戻りたくなる。
自由、と言えばいいのだろうか。
退屈のおまけについてくる、開放感。
それがたまらないのだ。

僕は社会人になる。
何気なく、だ。
もう、しばらく旅行はできないなぁと思っていた。
現実に、できていない。

社会人か、会社人か分からないけど、今でも僕はバックパッカーを見たら、やっぱり夢を抱く。
でも、その夢は憧憬といったものではない。
激しいノスタルジアだ。
あの頃に戻りたい、あの頃夢だったものをもう一度、夢としたい。
叶わない、幼さへの回帰。

きっと、バックパッカーが背負っているものは、バックパックだけではないのだろう。
開放感に支えられた、様々な夢の欠片をバックパックに詰めている。
あるいは旅は夢の欠片を拾い集めるのが旅なのかもしれない。

ただ、その夢は旅の間しか輝かないかもしれない。
国に戻り、バックパックを開くと中身は空っぽだったりするのだ。
でも、僕は時々、バックパックを開けてしまいたくなる。
夢はきっと、消えているだろう。
ちょっと、現地硬貨が見つかるかもしれないけれども。
だけど、バックパックの底を手探りしているもまた、夢の最中だってことに、今は僕はなんとなく気がついている。

※もっと、「なんだかなー」なら『 目次・◎旅





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最終更新日  2005年11月15日 00時25分24秒
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