田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2007年11月11日
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カテゴリ: ほどよく
桐野夏生さんが書いた 「リアルワールド」 を数日前に読了した。

十分に面白い小説だった。
僕がページ数を気にしなかったのだから。
余談になるけど、僕は読書の時にものすごくページ数が気になるのである。
なんでだろう?
なんというか、没頭するのに時間がかかったり、作品を選んだりする。

まあ、そんな僕の話はいいや。
作品の話である。


話の筋は確かに面白いし、良くできている。
紋切り型の言葉で言うと十分に現代的であると思う。

ただ、どーゆーのかな?
少し、僕が今まで読んだ桐野さんの作品とは違っている。

「OUT」 「天使に見捨てられた夜」 みたいに、犯罪がありながら、なお、魅力的な人物が登場するわけでもない。
近寄りがたい妖気のような魅力。

そこに登場するのは平凡な高校生達だ。
といっても、殺人をしていたり、幇助しているから、彼らの行為は平凡ではない。
逃げる一人の男子生徒と、結果的に幇助してしまう4人の女子高生。
同性愛者だったり、男と遊びまくっていたりする。


でも、僕は彼/彼女達の一面がとてもリアルに感じた。

彼らはものすごく、頭で生きていようとしている。
経験よりも、思考で生きていけるし、いや、それしか、生きていく術を知らないように感じる

一番極端なのが、テラウチなんだろう。


そんな、彼/彼女達と世の中を思考という観念で埋めたのが、彼/彼女らなりの「リアルワールド」なんだろう。

一見、きっちり考えているようだけど、みんな独りよがり。
自分は自分で正しいと思っている。
だから、傷つけられたら、他人を許せないし、忘れられない。
同じように自分を許せなくて、イヤな事を忘れれない。

「こんなものか」ってあきらめるのには若くて、希望の残滓が残っている。
「こんなものだけど、やってやるか」っていうのには、自信も能力も実はない。
でも、それを認めきれない。

程度の差はあれ、多くの高校生の時ってそんなものじゃないだろうか。

僕もそんな風だったと思う。
今でも世の中にきっちり取り組んでいるかと言われると疑問だ。
でも、当時はもっとひどかったのじゃないかなって思う。
「リアルワールド」を読んで僕は、高校生の自分を思い出した。
すでに長い時間が経ち、置き忘れてしまっている気持ちなのに。

あ、また、僕の話をしてしまった。
でも、「リアルワールド」が人を引きつけるのは事件の謎解きじゃない。
ましてや、事件へのわくわくはらはらだけじゃないはずだ。

独白で語られる彼/彼女たちのあり方だろう。
(さすがの桐野さんは、各々の独白のキレイに文体を使い分けています)
彼/彼女たちは自分で考えているつもりだろうけど、どこかで誰かも同じ事を言っていたような言葉。
頭でっかちな言葉は世の中にはそのまま通じないし、通じたとしてもネジクレタことが起こってしまうんだね。

母親殺し、逃亡、同性愛へのかけこみ、そして…

最後に託されたように残ったのが彼女なのは理解できるような気がする。
どこがって、「あきらめ」と自分への優しさがあるから。

きっと、彼女はタフになって、ちゃんと生き続けるのでしょう。

たとえ、この小説のページが終わったとしても。

※もっと、「なんだかなー」なら『 目次・◎ものがたり 』まで





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最終更新日  2007年11月12日 00時28分53秒
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