読書の部屋からこんにちは!

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2007.01.26
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カテゴリ: 童話
「幸福の王子」オスカー・ワイルド 曽野綾子訳




自分が子どもの頃も、うちの子たちが小さい頃も、何度も何度も読んだ本。
どこか知らないけどヨーロッパらしい街並みを見下ろす、端正な少年王子の像は、
刀剣と瞳の宝石をくりぬかれ、体の金箔ははがされて、ぼろぼろになっている。
足元には越冬できなかったつばめの亡骸が、寄り添うように横たわっている。
そんな挿絵を見ては、見知らぬ外国とかわいそうな王子さまに幼い心をはせていた昔の私。


たまたま図書館の新着コーナーにこの本をみつけて、思わず借りてきました。
装丁が格調高く、イラストもおとなしめで上品、しかも訳者は曽野綾子さん。



何度読んでもいいお話ですね。
優しくて小さくて可憐で・・・
本の値打ちは、長大や重厚さや難解さにあるのでは決してないということを教えてくれます。
優しくて小さいけど、この本はとても厳しいお話ですね。
矛盾した社会の中で貧しい暮らしをする人々を助けるために、王子様は自分の命を犠牲にし、
その姿にうたれた一羽のツバメもまた、命をかけて王子様を手伝うのです。

私たちも人を助けよう、親切にしようという気持ちを持っている。
大きな災害があれば多額の寄付金が集まるし、ボランティアの人もたくさん集まる。
しかし、自分の命をかけてもという人はほとんどありません。
しかも、誰にも知られずに、誰からも賞賛されることなく。
愛を完結させるということは、厳しくつらいことなのだ。



この本の影響かどうか、私はいつも思っていて、子どもたちにも言い聞かせてきたことがある。
それは、「いいことをするときは、誰にも言わずにこっそりね。
いいことをしてもらったときは、大きな声でありがとうって言おう。」ってね。





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Last updated  2007.01.26 08:36:29
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