読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2007.09.16
XML
カテゴリ: 雑感
作家の自伝を読んでいると、その幼い頃からの読書環境がよく書かれています。

とにかく少女の頃から、身の回りに本が山ほどあって、大人の本をたくさん読んでいるんですね。


私は今でこそ大の本好きですが、小さい頃はそんなに読んでいませんでした。
読もうにも、家にはそんなに本がありませんでした。
6畳の和室にあった、小さな本箱(本棚とは呼べないくらい小さいもの)。
私の記憶にある本は、それに納まる分量だけです。
木でできたその本箱は、大人の腰くらいの高さしかなくて、前面はガラス張りのとびら付き。
そのとびらの内側には、母がピンクの布でカーテンみたいに目隠しをしていました。



記憶に残る最初の本は、小学校低学年の頃読んだ「シートンの動物記」「ヘレンケラーの伝記」そして、高学年になって読んだ「聖書物語」「枕草子物語」でした。
他に読む本がなかったこともあって、それこそ何十回も繰り返し繰り返し読んでいましたっけ。
そんなにのめりこんで本を読んでいる娘に、両親はもっとたくさんの本を読ませてやろうってなぜ思わなかったんでしょう。だって、それ以上買ってもらった覚えがないんです。不思議ですねえ。私だったら次々に名作を読ませると思うんだけど。


中学生になった頃世の中では、何冊もあるような分厚い百科事典とか文学全集みたいなのをセットで飾るっていうのが流行ったんです。ある年齢以上の方は記憶に残っているでしょう?
我が家も例外ではなく、岩波書店の「日本文学全集」全部で20冊近くあるような立派な本でしたけど、それを買ってもらいました。一冊一冊が重かったのをよく覚えてます。この全集の中ではプロレタリア文学がお気に入りでした。


だけど、私の母は読書よりも家のお手伝いが大事という人でした。そりゃそうかもしれないけど、なにしろ本を読み始めたら何時間でも没頭してしまう私です。
忘れもしない夏休みの夕方、芥川を夢中で読んでいた私に、カンカンに怒った母が乾いた洗濯物を投げつけてよこしたんです。母にしてみたら、何度呼んでも返事をしない娘にすごく怒ってたんでしょうね。でも私はそれまで呼ばれてたことにも気づいてなくて、初めて顔を上げたら母がすごい形相で怒ってる。さんざん、しつこくなじられました。
それ以来、私にとって読書は親に隠れてこっそり楽しむものになってしまいました。家で本を読んでいても何かおちつかなくて、親に言えない悪いことをしているような気がするんです。
今思い返してみると、私って不幸な本好きだったんですねえ。


でも、読書をやめることはなかったので、どこかでこっそり読み続けてたんでしょう。あ、そうそう、テスト前の勉強中にちらりと読む小説の、なんておもしろかったこと!
今は、家事や料理を手抜きにしても、一日中図書館や書店に入り浸っていても、誰からも文句を言われずに、思う存分本を読むことができる。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.09.16 10:58:08
コメント(14) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: