読書の部屋からこんにちは!

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2008.02.23
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カテゴリ: 小説
この本を読んだのは三十年ぶりでしょうか。

女性が学問に興味を持つだけでも家門の恥と言われた明治初期、医学の道を志して、険しい道を究めた女性。
まったく、「艱難辛苦」という言葉は彼女のためにあるのだろうと思わせるほどの苦労の連続です。岩のように固く厚い偏見と戦い、やっと正式な試験に合格して医師となった吟子の波乱の人生。
若い頃、初めてこの本を読んだときは、彼女の医師になるまでの苦労と努力にただひたすら感動しました。「くじけない」ということは、こういうことかと思いました。
しかし、今回読み直してみて、結局は吟子も女だったんだな。その時代の女であることに違いはなかったんだなって、気づきました。

吟子は39歳のときに、後から思えば失敗としか言えないような結婚をします。相手は教会の信者として知り合った26才の学生で、吟子にとっては初恋ともいえる出会いでした。
結婚してからの吟子は一生懸命夫を立て、あげくのはてには、あれほどまで苦しい思いをして、世間と闘ってやっとのことで手に入れた医師という仕事をやめてしまうのです。
しかも、夫に従って行った先は、北海道の開墾でした。


医師になるために死に物狂いになったのも、吟子の選んだ道なら、それを惜しげもなく捨てて北海道に夫と共に渡ったのも吟子の選んだ生き方。
人間の生き方とは、理不尽なものですね。
もったいないとか思わずに、今そのときを大切に生きた吟子に、凛々しい潔さを感じました。





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Last updated  2008.02.23 11:05:06
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