読書の部屋からこんにちは!

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2008.06.30
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カテゴリ: 小説
親からも見放され、自暴自棄に生きる青年、翔人。
通り魔やコンビニ強盗を繰り返し、罪悪感も持っていない。
どうせ人生なんて、しゃぼん玉のようなもの。
一瞬のうちに消えてなくなる、はかないもの。
そんな彼が、なりゆきで老婆を救ったことから、再生の道をたどることになります。

と書いてしまうと、わりとありきたりな展開みたいで、なーんだと思われるかもしれません。でも、それをよくある話と片付けられない重みとさわやかさある小説にしたのは、ひとえに乃南アサさんの力量でしょう。

田舎の人は他人のプライバシーに踏み込むことが多いし、都会の人は他人との距離を大きくとる。そんなふうによく言われるけれど(私もなんとなくそう思っていたけれど)、真実はそんな単純なものじゃないんだなと思わせられました。
他人のことを疑い詮索したがるのは、意外と都会の孤独を感じている人たちなんじゃないでしょうか。そして、この本に出てくる田舎の老人たちは、他人の家庭のことをよく知ってはいるけれど、根本的に他人を信じて生きています。
他人から信じてもらうという感覚を初めて知ったことが、この主人公をよりよく生き直そうと決心させたのだと思いました。


気持ちが疲れている人に、お勧めしたい本です。







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Last updated  2008.06.30 05:53:10
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Re:「しゃぼん玉」 乃南アサ(06/30)  
くまさん555  さん
なんだか
深い内容の本のようですね

乃南アサさんのお名前はよく拝見しているのですがまだ、読んだことがありません

読んでみたいですね~^^
(2008.06.30 23:50:06)

Re[1]:「しゃぼん玉」 乃南アサ(06/30)  
ぱぐら2  さん
くまさん555さん
乃南アサさんといえば、都会的でシャープなミステリーもの。と思っていた私は、これを読んでちょっと驚きました。
温かく爽やかで深いです。くまさん、きっと好きになるよ。 (2008.07.02 05:47:07)

Re:「しゃぼん玉」 乃南アサ(06/30)  
こういうふうな小説って、ほんと作家さん
の腕が試されますよね。ミシェルはそんな
意味で、乃南さんのすごさを再認識しま
したよ。
とくに感心したのは「婆さん」のキャラの
仕立て方。がばいばあちゃんみたいなところ
もありますが、「がばいばあちゃん」より、
ずっとリアルだなって思いました。自分が
田舎出身だからですけど、確かに日本の田舎
にはこんな婆さんがいるって思えましたもん。 (2008.07.03 08:04:54)

Re[1]:「しゃぼん玉」 乃南アサ(06/30)  
ぱぐら2  さん
ミシェル・デマルケさん
>とくに感心したのは「婆さん」のキャラの
>仕立て方。がばいばあちゃんみたいなところ
>もありますが、「がばいばあちゃん」より、
>ずっとリアルだなって思いました。

私は、婆ちゃんやその友だちの婆ちゃんたちが説教くさくないところと、疑わないところに感心しました。
イマドキの若者はこんなものと一くくりにしないところは、私も見習わなくちゃ。 (2008.07.03 13:49:26)

Re:「しゃぼん玉」 乃南アサ(06/30)  
きたあかり  さん
こんばんはぁ~♪

ホントにありきたりな展開で読み終えてもピンと来ませんでしたが、他の方の感想を拝見して考え方を改めました。 

秋葉原の事件の報道を聞くにつれて、こんな作品がもっと読まれるべきなんじゃないかと思いました。 
希望とか再生とか、現代社会でもっとも求められているものなのかもしれません。

(2008.07.03 21:40:40)

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