読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2008.06.30
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カテゴリ: 小説
親からも見放され、自暴自棄に生きる青年、翔人。

どうせ人生なんて、しゃぼん玉のようなもの。
一瞬のうちに消えてなくなる、はかないもの。
そんな彼が、なりゆきで老婆を救ったことから、再生の道をたどることになります。

と書いてしまうと、わりとありきたりな展開みたいで、なーんだと思われるかもしれません。でも、それをよくある話と片付けられない重みとさわやかさある小説にしたのは、ひとえに乃南アサさんの力量でしょう。

田舎の人は他人のプライバシーに踏み込むことが多いし、都会の人は他人との距離を大きくとる。そんなふうによく言われるけれど(私もなんとなくそう思っていたけれど)、真実はそんな単純なものじゃないんだなと思わせられました。
他人のことを疑い詮索したがるのは、意外と都会の孤独を感じている人たちなんじゃないでしょうか。そして、この本に出てくる田舎の老人たちは、他人の家庭のことをよく知ってはいるけれど、根本的に他人を信じて生きています。
他人から信じてもらうという感覚を初めて知ったことが、この主人公をよりよく生き直そうと決心させたのだと思いました。


気持ちが疲れている人に、お勧めしたい本です。







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Last updated  2008.06.30 05:53:10
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