読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2009.12.11
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カテゴリ: 小説
先日読んだ林真理子のエッセイ「「綺麗な人」と言われるようになったのは、四十歳をすぎてからでした」は、あまりにもアクが強くて、胸焼けしてしまいました。


「ポプラの秋」
読むのは二度目でしたけど、この本を選んだのは大正解でした。
湯本香樹実さんの本には、お年寄りと子どもが出てくるんだけど、子どもはあくまでも純粋な心を持ち、その心を傷めながら少しずつ成長している。そばにいるお年寄りは、子どもを見守るでもなく見放すでもなく、自然体で、年老いた人生を一人生きている。お年寄りが今までに過ごしてきた人生の喜びや痛みやいろんなものが、知らず知らずのうちに、子どもに大きな影響を与えている。
そんな乾いた二人の関係が、とても心地よくて、「「綺麗な人」と言われるようになったのは、四十歳をすぎてからでした」(あー!長ったらしい)の後遺症をきれいに治してくれました。


7歳の千秋は、交通事故でお父さんをなくし、お母さんと二人でポプラ荘というアパートに住むようになりました。
大家さんは、悪者のポパイみたいな顔をした怖いおばあさん。
千秋をかかえて必死で働くお母さんを見ているうちに、千秋は学校に行けなくなり、心の病気になりかけます。

おばあさんの部屋にあるたんすの引き出しに入っていたのは、たくさんの手紙でした。
千秋もお父さんに、たくさん手紙を書きます。お母さんも書きました。
おばあさんは、その手紙をお父さんに届けてくれるというのです。
お父さんが天国から電話をかけてくれた場面は感動的で、ほんとうに心が洗い流される気がしました。


大切な人を失った悲しみを、人はどうやって決着をつけるのか。
そんなテーマを、7歳の女の子の平易なことばで、しみじみと語りかけてくる、清らかな物語。
おばあさんのお葬式の日の、すがすがしい空の色。
おばあさんへの感謝と、生きることの意味を知ることができた、すばらしい小説でした。


ポプラの秋





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Last updated  2009.12.12 01:01:34
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