ぐりっちのいるところ

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ぱぷりか。

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車窓にひろがる麦畑は、一面の黄金色でした。
（麦の色づくこの頃合いを「麦秋」というそうです。）
わずかな風にさわさわとそよぐ穂は、
月のしたにもさぞや。の輝き。
ずっと眺めていたら、この本を思い出しました。

かぐわしい夏の宵、眠りからさめたハリネズミと
お散歩へ出かけよう。
空にはお月さま。星が二つ三つ。

「お月さんのランプに
　お星さんのろうそく
　夜ごとはるばる
　さまようおいら」

か細い声のリズムにのせて、足拍子。
うん、いい歌だ。と呟く声に相槌を打とう。
シモツケソウの白い花。
やさしいヤナギランのしげみをたどって、
ノウサギのじいさんの按配を尋ねれば、
「わしもつきあうよ。」
小川の水辺リのカワネズミも誘ってみよう。
麦の穂ののびるとこを見にいかないか？
胸がすうっとするからね。

遠く道路を行き交う車のライトより、
どんなに空のランプのすてきなこと！

さやさやと囁く、一面の麦の穂の言葉を聞きにいこう・・・

幸せで、静かな時間。

とりたてて何もないのに、憧れる時間です。

ちなみに娘(７歳）のお気に入りは、
水際で遊ぶカワネズミの足からこぼれる雫模様です。
本当にきらきらと美しいのです。

（アリスン・アトリー作　矢川澄子　訳　片山健　絵　福音館書店　１９８９）

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