特許の思想体系

特許の思想体系

2005.01.14
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カテゴリ: 01 特許ゲーム
こんちくは。今回のタイトルは「大人のドリル」化してみました。
「大人のドリル」をアマゾンで検索すると33件でした。


特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法第68条)
これが、一般的に言われている特許権は 独占排他権 であることの根拠条文です。
文言毎に区切って説明します *1

(1)「特許権者」とは、特許権を所有している者です。
 正式には、特許庁から特許原簿を取り寄せることで、特許権者を確認することができます。特許公報にも特許権者が記載されています。ただし、特許公報に記載されている特許権者は、その特許公報が発行された時点での特許権者です。その発行後に、特許権が譲渡(他の者の手に移っていること)されていることも考えられますので、正式に調べたい場合は、特許原簿で確認します。


(2)「業として」とは、「事業としての」の意です。
 反復継続的な複数回の実施を必要としません。したがって、1回だけの実施でも侵害になります。具体例として、よく出てくるのがダイナマイトの特許発明で、工事のために1回だけ用いるような場合でも、侵害になります。
 また、営利を必要としません。よく勘違いされるのですが、国・県等の事業であるので、または大学内でのみ使われるので、侵害にはならないと考えている方もいますが、誤解です。
 では、何が「業として」ではないのかというと、「個人的・家庭的」な実施ならば「業として」にはなりません。例えば、「きのこの栽培方法」という特許があったとしても、それを個人的にのみ使用するのであれば、侵害にはなりません。
 となると、企業活動は、「業として」以外の活動はないと考えるべきです。

(3)「特許発明」とは、特許を受けている発明をいいます(特許法第2条第2項)。
 したがって、特許になっていない発明に対して、侵害ということはありません。この特許発明の範囲(専門用語として「技術的範囲」と言います)が実務上は非常に問題になります。これは、特許請求の範囲に記載された文言の解釈によります。この解釈が我々知財関係者の仕事の鍵になります。

(4)「実施」とは、特許法第2条第3項に規定されています。
 具体的には、「物の発明」であれば、製品を製造すること、使用すること、販売すること、レンタルすること、輸入すること、展示会等に出品すること、です。プログラムの発明の場合は、そのプログラムをインターネット等を介してダウンロードすることも実施になります。
 また、「方法の発明」であれば、その方法を使用することです。
 さらに、「物を生産する方法の発明」であれば、その方法によって生産された物を使用すること、販売すること、レンタルすること、輸入すること、展示会等に出品すること、です。
 企業活動のほとんど全てと考えてもよいです。
 ただし、輸出、倉庫に保管、改造・改良は規定されていません。これらは、解釈に委ねられることになります。

(5)「専有する」とは、他人の利用を排除して権利者のみが独占的に実施する権利を有することです。
 つまり、一人占めにして、他の人には使わせないことです。

 特許権を取得するということは、技術的にすばらしい発明だから特許出願しよう、そして、特許庁から特許証を得て、額に飾ろうというのが目的ではありません。 特許は、経営に活用できる武器 です。


では、「特許権侵害」とは、どのような場合をいうのでしょう?
ちょっと考えてみてください。論理的に導き出せます。



 考



 中



 考

 え

 中



   ヒント:「業として特許発明の実施」は同じです。誰がでしょうか?



 考

 え

 中



続き ますが、「今宵はここまでにいたしとうござりまする」 (流行語大賞 1988年 流行語部門・金賞)



*1
条文を、文言毎に区切って解釈していくことが一般に行われます。
これを、言語哲学的に解説すると、次のようになります。
文の意味は、それを構成している語の意味と文の構造によって形成される。
語の意味は、それが現れる文の意味への寄与に他ならない。
つまり、文と語は、その意味を解釈するのに互いを互いに必要としている関係にあります。

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最終更新日  2005.01.14 23:14:17
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