2003年07月06日
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今日は小説、唯川恵の短編集「ため息の時間」から。
・・・そのエッセンスを紹介。

女はいつも寂しがって生きている。
男はいつも悔しがって生きている。

それを聞いた時、決して交わることのない、男と女の在り方を感じた作者。

男の視点で女を描いた2001年6月刊の短篇集。著者は昨年の春、直木賞を受賞しているが、ジュニア小説時代からのキャリアを計算すると、十数年になるベテラン作家だ。読者が要求するものをすくいとった「おもしろい小説」を、職人技を思わせる見事さで紡ぎ出すばかりでなく、深い人生の機微を味合わせてくれる。

冷酒をゆっくりと飲んでいる。旨いと感じる食べ物が少しづつ減ってゆくのに反して、酒の味が沁みるようになった。・・・若いときはただの酒飲みだったが、今は酒好きになった。

          ***

「いつだって、どんなときだって、女は誰かに見つめられていたい生きものなのよ」



女は、本当は、女をいちばん信用していない生きものだ。

 -------『夜の匂い』


「いちばん父親が必要な時にあなたはいなかったのだもの、あなたが必要な時に家族がいなくても仕方ないでしょう」

        ***

気がつくと、秋はゆっくり後退りして、凛とした静けさを孕んだ風が足元にまとわりつくようになっていた。これまで、季節を迎えながら生きてきた。しかし、今は逝く季節を振り返る自分を知る。あと何回この季節を迎えられるだろう。いつの間にかそんな数え方をするようになっている。

 ーーーーーーー『終の季節』

別れの基本は、相手を思いやるポーズを決して崩さないことだ。それは何人かの女たちと別れにすったもんだして、身についたワザだった。口が裂けても本当のこと、つまり気持ちが冷めたとか、他に好きな女ができたなどと言ってはいけない。
「俺なんかより、もっといい男がいるよ」
この常套句もあなどれない。ここまで言えば、もうどうしようもないほど心が離れていることを痛感するはずだ。

         ***

考えてみれば、会社の制服というものは若い女を基準に作ってある。るみ子ほどの年齢になると、気の毒になるくらい似合わなくなってしまう。






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最終更新日  2003年07月06日 19時00分58秒
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