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セレンディピティ
虹
The Rainbow 『虹』 ウィリアム・ワーズワース
―平井正穂訳
My heart leaps up when I be hold 私の心は躍る
A rainbow in the sky. 大空に虹がかかるのを見たときに
So was it when my life began; 幼い頃もそうだった
So is it now I am a man; 大人になった今もそうなのだ
So be it when I shall grow old, 年老いたときでもそうありたい
Or let me die! そうでなければ生きている意味がない”・・・
The Child is father of the Man; 子供は大人の父親なのだ
And I could wish my days to be 願わくば、私のこれからの一日一日が
Bound each to each by natural piety. 自然への畏敬の念によって貫かんことを
ながれのきしの ひともとは
みそらのいろの みづあさぎ
なみ ことごとく くちづけし
はた ことごとく わすれゆく
「わすれなぐさ」 ウヰルヘルム・アレント(上田敏訳)
美しいばらをさわってみる
つやつやとつめたかった
ばらは生きてる
山川彌千枝
片恋のわが世さみしくヒヤシンス
うすむらさきににほひそめけり
芥川龍之介
雨の日は 雨を愛そう
風の日は 風を好もう
晴れた日は 散歩をしよう
貧しくば 心に富もう
-堀口大學-
The Daffodils 水仙
I wander'd lonely as a cloud 谷と小山の上高く
That floats on high o'er vales and hills, ただよ洋ふ 雲の われひとり
When all at once I saw a crowd, 迷ふ行手に 見し群は
A host of golden daffodils, こがね黄金の色の 水仙花
Beside the lake, beneath the trees 湖水のほとり 木々のもと
Fluttering and dancing in the breeze. 舞ひはためけり そよ風に
Continuous as the stars that shine 天の河原に はてしなく
And twinkle on the milky way, 照りきら燦めける 星のごと
They stretch'd in never-ending line 入江の岸に はてしなき
Along the margin of a bay: 列となしてぞ 並びたる
Ten thousand saw I at a glnce ひとめ一目に見たり 千よろづの
Tossing their heads in sprightly dance. かうべをふりて 垂へる花
The waves beside them danced, but they あなたの波も 舞ひしかど
Out-did the sparkling waves in glee:- きらめく波は 物ならず
A Poet could not but be gay かかるうれしさ 友垣に
In such a jocund company! 浮きたたでやは うた人も
I gazed- and gazed- but little thought あかず眺めぬし この景の
What wealth the show to me had brought. あたへし富を 思はずに
For oft, when on my couch I lie 心うつけて 憂はしく
In vacant or in pensive mood, わが床に臥す をりふしに
They flash upon that inward eye 孤独の幸の 内心の
Which is the bliss of solitude: 眠に花は ひらめきて
And then my heart with pleasure fills よろこびうち衷に みち渡り
And dances with the daffodils. 舞ふや心と 水仙花
ウィリアム・ワーズワース 訳 竹友藻風
久坂葉子の詩 二編
回想
古い手紙
ノートを破って書いてある。その手紙
あの頃は友も私も
生きることのよろこびに一ぱいだった。
文箱のぬりはもうはげて
静かに、静かに
まっかな椿が一輪落ちた。
オイルシルクの傘
オイルシルクの傘
つたって落ちる雨一しずく
そっと口ぶえをふいて呼んでみた
春の午後
おもかげはその窓に
あらわれて忽ち消える
青空がみえだした
傘をつぼめて
忘れよう
あなたはその窓のうちに幸福なんだから
美しき夕暮れ
食卓 頑丈で磨きのよくかかった
栗の木の食卓に
白い皿 ぎんのスプーン
ナイフ フォーク
未だあかるい厨房では
姫鱒(ひめます)をボイルしてゐる
(田中冬二)
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