ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 19, 2006
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「運命的な調性」

 今日の練習の二曲めは「ハープ」。(バイオリン:マックス、マリリー。ビオラ:僕。チェロ:メルセデス)
 三年ぐらい前に一度練習してみて、敢えなく諦めてしまった因縁の曲。マックスの強い希望により再挑戦が決まった。

 この曲名、1楽章のピチカートがハープの音色に聞こえることからそう呼ばれるようだが、僕自身はあまり好きな呼称ではない。僕らがピチカートを弾いても、どうせ ペンペン という乾いた音しか出なくて哀しくなるだけだし。それに、全体的にハープのような優雅で流麗な音楽とは程遠く、かなり険しく、張り詰めた曲だ。

 統計をとったわけではないけど、室内楽曲で圧倒的に多い調性は、この曲みたいに変ホ長調のフラット3つ(ハ短調も)のような気がする。
 個人的には別に嫌いな調性ではない。でも、この調性って、中間の楽章でフラット4つとかが出てくる可能性を秘めてて、フラット系の曲が苦手な自分はちょっと意識してしまう。
 この楽曲で言えば2楽章がそう。二重フラットも出てきて、それだけで気が滅入る。

 聴く分には一番好きなのが3楽章。が、弾く分には一番コワい。
運命が扉を叩いている ようにも聞こえる。偶然ながら調性も運命交響曲と同じくフラット3つのハ短調。「ハープ」というより「運命」と名付けたい。
 中間部は思いのほか難しく、数え方が全然わからない。

 4楽章の変奏曲は二拍子で、1、2、1、2と数えるのではなく、ウラ拍から2、1、2、1と数える。(こーゆーの苦手……。)
 変奏曲ってあまり好きではなくて、僕の場合はビオラのソロだけが唯一の(?)楽しみ。だから、この曲でもどんなソロがビオラに廻ってくるかと思ってたら、第二変奏として実に華々しく登場する。かなりいい感じ。

 全楽章とも我々には難曲過ぎたけど、ベートーベン様の偉大さを少しだけでも肌で体験できて、思い出に残る練習になった。

 ところで、これと似たような曲を前にどっかで弾いたような気がした。

 例えば、出だしのゆっくりした部分は、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲1番 Op12 のアタマに似ている。
 あと、1楽章の最後の部分、ファーストが分散和音をうねうねと移弦しながら弾くとこは、シューマンのピアノ四重奏曲4楽章の最後に似ている。
 しかも、ここはファーストに難しいパッセージを弾かせておきながら、ちゃっかりセカンド(とビオラ)がおいしいメロディーをかっさらっていくのだけど、 メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲 の4楽章最後にも似た箇所がある。

だから何?





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最終更新日  Jul 21, 2006 07:43:56 PM
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