ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Mar 5, 2006
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「ませガキめんぱっちん」

 今日はニューヨークで開催された室内楽ワークショップを受講してきた。先月参加したばかりなので今回は欠席するつもりだったが、三週間ぐらい前に事務局のお姉さんから連絡が来て、「ここだけの話、the Octetの第一バイオリンを弾かせてあげてもよくってよ」と言われて、ふたつ返事で参加を決めた。この the のついた八重奏曲とは、当然メンデルスゾーンの曲。日本では親しみを込めてメンパチとかメンパッチンと呼ばれている(らしい)。

 この曲は何度か遊びで弾いたことがあるけど、きちんとレッスンしていただくのは初めてで、ましてファーストとなると体力や精神力も鍛え直さなきゃいけない。この三週間、緊張のあまり食事も喉を通らず、眠れない日々が続いた(一部脚色)。そして、毎朝毎晩、血のにじむような猛練習をした(全部脚色)。

 今日のメンバーは、バイオリンは、僕、キャシー、マーク、キャサリン先生。ビオラはブリヂットとジェーン。チェロはニコール先生とナンシー。

 第一バイオリンが特に活躍する1楽章を重点的にやることにしていたので、すごく不安だった。この楽章のみならず、曲全体のなかで最も難しいのは、ずばり1楽章冒頭の数十小節の第一バイオリンだと思う。七人を伴奏に従えて美しくもコ難しい旋律を奏でるなんて光栄と言えば光栄だけど、バランスも難しいし、さりげない臨時記号がすごく怖い。

 おそるおそるレッスンが始まったが、やっぱり曲が面白く書かれているので、結局は楽しんで弾けた。曲のなかで、八人のうち、いろんな組み合わせでペアやトリオやカルテットが形成されていって、意外なパートと一緒にハモったりする。

 1楽章の最後に、第一バイオリンにミのフラットの超高音が出てくる。これを外したら今までの苦労は台無しなのだけど、ニコール先生によると、オクターブ下げて弾く版もあって、無理に上げて弾かなくてもいいらしい。確かに僕の持ってるCDではオクターブ下げてたような気もする。

 さて、もともとは1楽章を徹底的に練習する予定だったのだが、練習の途中で何人かが「この曲を弾く機会など一生に何度もあるわけじゃないし、せっかくだから他の楽章も通してみたい」と言い出した(確かに一理ある)。で、4楽章と2楽章も通したら、これがまた1楽章よりずっと弾きやすく、純粋に楽しい。4楽章にヘンデルのハレルヤコーラスのフレーズ And He Shall Reign が隠れているというトリビアで盛り上がったが、1楽章にもメサイヤの旋律が散りばめられているらしい。


 そして、何がすごいって、この曲、八人の大のオトナが興奮して顔を真っ赤にしながら弾くわけだけど、作曲した張本人メンデルスゾーンは、当時まだ16歳の鼻たれ小僧だったらしい!





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最終更新日  Mar 9, 2006 08:10:55 PM
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