ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Oct 8, 2006
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「郷愁の笛」

 ジェームス・ゴールウェイ卿によるフルート協奏曲をナマで聴けただけで感激の一夜でしたが、今回の演奏会ではアンコールにも応えてくださいました。

 彼がゆっくりと吹き始めた曲は、なんと「ロンドンデリーの唄(=ダニーボーイ)」。アイルランド出身の彼としては定番曲なのかもしれませんが、僕自身はアンコールがあることすら予期してなかったので、不意を打たれました。

 この曲を聴くと、別に自分はアイルランドの出身ではないはずなのにホームシックになってしまいます(笑)。ゴールウェイさんも、かすかにこぶしをきかせながら、遠くのほうから聞こえてくるような幻想的な音色で、会場を全く別の時空へと導いていました。それにしても木管楽器によく合う曲だと思います。

 アイルランドって、自分としては一応は北も南も旅したことはあって、もっと親しみを感じてもいいはずなのですが、なんか気軽に語っちゃいけない土地のように思います。
 ダブリン出身のカトリック派の友だちに言わせれば、このロンドンデリーという地名も、「ロンドン」を省いて「デリー」とだけ呼ぶのが 南側的には 正しいのだとか。一方、北のベルファストで警察官として働いていた知人は、街の治安が改善したためにリストラに遭って失業(そして離婚)という皮肉な運命。
 歴史や気候や文化や、あらゆるものが自分とかけ離れたところにあるようでいて、それなのにこのテの民謡にはいとも簡単に郷愁を駆られてしまうのは不思議。

 東京に住んでた頃に、この曲、弦のアンサンブルで何度か弾いたことがあります。当時一緒に演奏した友だちのこととか、演奏した場所のこととかも、漠然とだけど急に思い起こされました。






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最終更新日  Oct 11, 2006 12:26:39 PM
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