ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 5, 2006
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「ハッピーエンド」

 今日の練習では、無謀にも「セリオーソ」にも挑戦。ただでさえベートーベンの曲は重くて厳粛なのに、「セリオーソ」ってことは一層シリアス。
 フラット四つっていうのも非日常性というか威厳性を助長している。半音階も頻繁に出てきて、近寄りがたい要素が満載。
 第1バイオリンのパトリシアもチェロのチャールズも、この曲を別の団体で弾いたことがあるそうだが、セカンドの僕とビオラのカートにとっては初挑戦。いそいそと練習を開始した。

 決して長い曲ではない。全四楽章合わせても20分未満。だけど、その割にほんとにいろいろと詰まっている。濃い。

1楽章 数ある弦楽四重奏曲のなかで最も強烈な出だし だと思う。何かに対して怒り狂っているようなユニゾン。羊のように善良な自分としては(?)、弾いてて息苦しくなる。心を鬼にして、自分に厳しく他人にはもっと厳しく(笑)。

: 落ち着いてゆっくりと、神秘的にもったいぶって弾くべきかと思ってたら、アレグレットと書かれていて焦る。

3楽章 : 付点のタッカタッカのリズムは、ちょうど先月から別の団体で取り組んでいる ベートーベンの作品127 靴磨き shoe shine 奏法 」と呼ばれてる。)

終楽章 : この楽章も充分スリリングなのに、最後のほうで状況は一変。せっかく今まで内向的に重々しくセリオーソしてたのに、あっけらかんと長調になって、アレグロで明るく楽しく軽快に終了する。この 強引なまでのハッピーエンディング 、個人的にはどうも好きになれない……。とっくに耳の聞こえなくなっていたベートーベン。絶望と希望とのはざまで、無理して脳天気な音楽をこしらえたのだろうか。

 なにはともあれ、充実感をもって練習を終えることができた。このメンバーで今度集まれるのはいつになるかわからないけれど、次回の練習でもこの曲に本格的に取り組んでみたい。難しそうに聞こえる曲だが、決して不可能ってわけでもない。同じベートーベンでも、作品59の「ラズモフスキー」三部作よりはまだ弾けそうかも。





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最終更新日  Nov 8, 2006 08:14:20 PM
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