ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 8, 2006
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「着てはもらえぬセーターを」

 今日はなんとショパンのトリオに挑戦してみた。
 これは当然ながら、ピアニスト(セス氏)の強い希望によるもの。彼は既に楽譜を入手済みで、以前からこの曲を提案するタイミングを狙ってたらしい。先月の練習終了時に、おもむろに楽譜を取り出し、「来月はこれを弾こう!」と笑顔でのたまったのであった。
 曲の存在すらあまり知られてないし、僕も予備知識など全くなく、半信半疑のまま今日を迎えた。

1楽章: アレグロ・コン・フオッコ。おそるおそる遅めに弾いた。そしたら、短調の旋律が日本の演歌調に聞こえて意外に親しみやすい。
 「北の宿から」by 都はるみ の原曲と噂されるショパンのピアノ協奏曲1番を彷彿とさせる。このトリオも、日本語の歌詞を乗せて演歌歌手に歌わせてみると面白いかも。

2楽章: バイオリンパートの音域が低めに書かれていてちょっと不満だが、決して地味ではなく、大衆音楽とかクリスマス用の音楽としても使えそうな、粋なスケルツォ。

3楽章: このアダージョ、なんていうかショパンのノクターン(ピアノ独奏曲)そのもの。ピアノのポロンポロンという音響効果を弦で弾こうとするのはすごく無理がある……。

終楽章: 二拍子。テンポにもよるが、ポルカの一種か。



 ただ、我々は結局はこの曲を却下してしまった。一回通してあっけなく終了。「 老後にまた弾こうね 」という名目のもとにお蔵入り……。

 チョピンちゃんには悪いけど、この曲を練習する時間があったら、むしろシューマンのトリオにじっくり取り組んだほうが勉強になる、と我々は考える。トリオという編成にしては合理性やバランス感覚に欠けるいうのが率直な感想。

 この曲(の特に1楽章)に漂う 侘びと寂び の世界は、決して悪くはない。でも、それは多忙な現代社会において正面からは受け入れがたい非効率性、矛盾性をも秘めている。
 敢えてわかりやすく例えるなら、「着てはもらえぬセーターを、寒さこらえて編んでます」的な虚無感、ってとこか。(←ぜんぜんわかりやすくない?)





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最終更新日  Dec 12, 2006 09:26:55 AM
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