ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 10, 2006
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「羊たちの沈黙」

 デイビッド先生によるカルテットのレッスン(ベートーベンの1番)、三回めの今日は無謀にも2楽章アダージョを診ていただいた。(第1バイオリン:僕、第2:パトリシア、ビオラ:ジェイン、チェロ:ケイティー)

 回を重ねるにつれ先生の要求も厳しくなってきている。教わる側としては光栄なことだけれど、 前回のレッスン で予想以上に絞られたので、今日はちょっと弱腰で臨んでしまった。僕だけでなくみんなも同じみたいで、いわゆる 借りてきた猫 というか、 羊の皮をかぶった羊 というか(?)。いつものような談笑のひとときもなく、なんか殺気立った状態でのレッスンになってしまい……。

 そもそも、ゆっくりした8分の9拍子(大きい三拍子)というのは僕は苦手。テンポを正確に維持するのも難しいし、弓の上げ下げのつじつまを合わせるのも苦労する。早い話、ボロが出やすい。案の定、最初の数小節で見事につかまって、かなりの時間を費やして音のバランスや弓づかいについてご指導いただいた。それにしても氏のご指導はすごく勉強になる!

 突然フォルティシモになるとこも、ヒステリックな二重人格者になりきって狼が牙を剥くように弾くべきなのだろうけど、それがなかなか。

 全員が休符で、しーん……となるところが何度か出てくる。みんな息を呑みながらも、その沈黙に耐え切れず吹き出してしまう人が必ず出る箇所だけど(?)、ここも難所。四人が指揮者なしでスパッを縦の線を揃えて次の音を発するのは意外に大変。

胃に来る音楽 ……。

 最後の最後に出てくるファーストのソロもまた胃痛のタネ。カデンツァと呼んでもいいようなこの部分も師匠から激しく突っ込まれて何度も弾かされた。考えれば考えるほど弾き方がわからなくなってきて意識が朦朧としてきたあたり、やっとお許しが出た。

 最近、ベートーベンのあまりの偉大さに圧倒されて、自分でもちょっと疲れ気味。ここだけの話、しばらく彼の音楽から距離を置きたいとさえ思ってる今日このごろなのだけれども、そんなこと畏れ多くて口が裂けても言えない(←言ってるやないの、アンタ)。





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最終更新日  Dec 16, 2006 11:40:36 PM
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