ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 3, 2007
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「その音、凶暴につき」

 今日は、ニューヨーク近郊の室内楽愛好家十数人が集まって、宴会も兼ねて練習を楽しんだ。題して、「夏の終りのハーモニー2007」の宴。

 僕が参加したのはシューベルトの「鱒」のグループ。1楽章、2楽章、終楽章(5楽章)に取り組んだ。

 自分にとって、この五重奏曲「鱒」はかなり昔から気になってて、いつの日か弾いてみたいと願っていた曲。思い焦がれて20年、半ば幻の曲となりつつあったけど、ついに悲願達成。夏休みから帰ってきてから大慌てでさらって今日の日を迎えた。

*****

 室内楽の編成にコントラバスが加わると、当然ながら音の厚みがまるっきり変わる。一気に交響的な音楽になる。それだけで既に楽しくてしょうがない。

 さて、この曲最大のポイントは、ずばり、出だしのA durの鳴らし方か。

trout sheetmusic

カプソン兄弟 の)では、冒頭のこのフォルテの重音をかなり柔らかく分散気味に弾いている。

 華々しく鮮明な印象を残すことも大切だけど、凶暴で鋭利な音にならないように注意する必要もある。

 この難しさ、しかし、モーツァルトの「アイネク」冒頭のそれとも微妙に違う。

 動画もいろいろ調べてみたけど、この重音の響きの作り方についてはやっぱり十人十色。

trout1969
 1969年の映像。すごい豪華メンバー。保存版ドキュメンタリー!

trout julian
 ジュリアン・ラクリン(←ジャニーヌ・ヤンセン嬢の恋人?)と仲間たち

*****

 2楽章アンダンテに出てくるビオラとチェロの二重奏が美しい。ちょっと唐突だけど。

 5楽章はジプシーの踊りという感じがしないでもない。



 4楽章を弾かずして、この天下の名曲についてイチャモンつけるのははばかられるものの、正直言ってそんなにいい曲でもないような気がしてきた(笑)。

 今まで20年ものあいだ勝手にこの曲を崇拝してきた自分自身を否定することにもなりかねないけど、少なくとも今日弾いた1、2、5楽章については、曲の構成があまりに単純。全く同じことを調を変えて二回演奏してるだけ、という印象が残る。「展開部」とか「終結部」みたいな起承転結やメリハリに欠けるよーな。

 期待しすぎた自分がいけなかったのか、それとも、楽曲を理解しようとする努力、あるいは実力や感性が足りないのか、ちょっと考え込んでしまった。

 とりあえず、この曲は弾くより聴くほうが楽しいのかも、という小結論にいたった次第。

fab five

 (僕はビオラ)





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最終更新日  Sep 5, 2007 10:04:13 AM
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