ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 3, 2007
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 フィラデルフィア管弦楽団を聴きに行った。彼らの演奏を聴いたのは僕はおそらく三年ぶり。一緒に聴いた人にいたっては二十年ぶりとのこと。 ユージーン・オーマンディ が振ってたそうな!
 今日の指揮者はイルジー・ビエロフラーベク Jiri Belohlavek。

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 一曲めは マルチヌー作曲「トッカータと二つのカンツォーネ」 。指揮者もチェコ人だし、クセの強いボヘミアンな音楽を期待してたら全然違かった。バロックっぽい清く透明な感じさえした。管や打楽器も数名いるものの、基本的には弦の音楽なとこはチェコ的か。

 二曲めは メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲 。独奏はサラ・チャン。


 フレーズを大きく捉えて、それぞれの情景をきちっと演出する。情景ごとにテンポも大胆に変える。そしてオケもとことん合わせてる。終楽章はヒヤッとするとこが何箇所かあったような気もしたけど、そんなのも「気のせい」と思わせるような説得力のある弾きかた。

 ところで彼女、弾きながらやたらと歩き回る。畳で言えば四畳半近く動いてるかも。イナバウアー奏法だけならまだしも、足をクロスさせたり、蹴りのような動きを入れたり。ロングドレスの裾につまづいて転びやしないかとマジでハラハラしながら観てしまった。
 あるいは、コンマスに顔を寄せて睨んだかと思うと、管のほうを振り向いて煽ったりも。
 いずれにせよ、我々聴衆はサラちゃん光線にメロメロ。

 休憩後は ブラームスの交響曲2番
 僕も大好きな曲。以前の自分だったら、遅めのテンポで田園的・牧歌的にしっとりと演奏するのを好んでた気がするけど、最近は好みが変わってきて、輪郭をくっきり、割と早めのテンポで突き進むブラ2も魅力的に思うようになってきた。今日の演奏も、内声をも前面に出すバランス感覚がとても新鮮で、かつ停滞せずに清潔に曲が進行していたので、心地よい緊迫感を味わえた。

*****

 それにしてもこのオケ、弦の響きが独特。バイオリン、ビオラ、チェロ、バスというそれぞれの楽器の個性がさほど前面に出ず、弦セクションとしてひとつの大きなオルガンのような連続的・統一的な音色を感じる。シベリウスとかブルックナーの音楽を聴いてみたくなる。

 久しぶりにフィラデルフィア管を聴けて大満足の一夜。
 しばらく見ないうちに団員がだいぶ入れ替わってるような気がした。ますますアジア系が増えてきてるよーな。



 終演後のサラ・チャンちゃんsarah1.JPG





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最終更新日  Nov 4, 2007 02:25:57 PM
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