ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 14, 2008
XML
「Et tu, Brahms? ブラームス、お前もか」

 久しぶりにブラームスのトリオ1番に(再)挑戦。案の定、三人で仲良く喧嘩しながらの練習となってしまった……。(vn 自分、vc チャールズ、pf セス)

 きわめて個人的な好みの問題。名曲だとは思うものの、やはり天下のメントリにはわずかに及ばない。
 作曲家自身が後年に書き直したものらしいけど、なんか必要以上に複雑になってる?

以前に弾いたとき(二年前) は、僕もこの曲が大好きだったのは事実。弾いてて楽しくてしょうがなかったし、ブラームスの音楽に近づけたと勝手に喜んでた。

 でも、やっぱりそんなに単純な曲じゃない。そもそも、ロ長調(シャープ五つ)という調性にイライラさせられっぱなし(笑)。

 冒頭しかり、随所に出没するフレーズが「字余り、字足らず」に思えて、気になってしょうがない。律儀に8小節とか16小節単位でまとまってくれるものと思って歌ってると、見事に裏切られる。ちゃんと綿密に計算して弾かないと、妙に歪んだ音楽に響く。


 意外なとこでリタルダンドがかかったり、強引な五連符が登場したり。ここぞというときにユニゾンになってバイオリンとチェロとの純血が試されたり。

 あちこちに罠が仕掛けられている。「期待と裏切り」そのものの錯綜する不思議な音楽。

 今さらながら思うのは、ブラームスを弾くためにはあらゆることを理由づけしながら譜読みする必要があって、決して気を許してはいけない。いったん自分の下した決断をも見直すことも大事。
 具体的には、自分の奏法に関し、第三者の客観的な意見を求めるということ。どこに強拍を置くかとか、語尾の長さとか。

 偉大な作曲家の偉大な音楽を、一方的に馴れ馴れしく感じながら適当に弾いても逆効果。もっと掘り下げて練習していかないと。
 この曲の3楽章アダージョなんて、まさにいい例。あんな短い楽章なのに濃厚。

 そういったことを他の二人と言い争いながら練習してたら、結局はただの「こどもの喧嘩」みたいになってしまった。ブラームスをやるとかなりの確率で陥ってしまう哀しい現象……。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Nov 18, 2008 08:48:20 AM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ピカルディの三度TH

ピカルディの三度TH


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: