雑筆の部屋♡♡此処に青春の灯あり

雑筆の部屋♡♡此処に青春の灯あり

2025.10.14
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​​​​ 「小さな歌」のメンタルタイムトラベルの1日
2025月9月18日 木曜日
ペルヒトルツドルフのぶどう畑を充分満喫した後、うっそうとした木陰の小さなホイリゲに案内されましたが、酒屋の主人は明日からの開店で今は準備中だと残念そうに言いました。なので赤い線に囲まれたメートリンクの街に向かいます。


これはネットから借りて来たメートリンクの空港写真ですけどね。
ペルヒトルツドルフのブドウ畑はかなり高い場所にあったので、車は殆ど坂を下りるように進みました。

カメラが白黒になっていたのに気が付きませんでしたが、途中のヒンタービュールとメートリンクの町境の坂の道路で、ここがグライナーの家ですよ、と教えてもらった時はもう遅かった。斜面に沿った明るい色の壁と大きな窓の邸宅だったのをチラッと見ただけでした。グライナーさんはランク指揮者の義理の息子さんになった61年来日組のソリスト団員で、映画でもよく脇役で出ていたので印象に残っています。
しばらく行くと見覚えのある景色に出会いました。崖にはモミの木ではなく、松の木ばかりが生えていてオーストリアではないみたい。

右に
2022年にギュンニーさんがウィーンのホテルまで送ってくれた時に見た場所と同じでした。デュルンシュタインの山の上にある廃墟を見に行くと伝えたら、廃墟ならここにもあるよ、と言われた場所です。
この手前の変わった建物は学生結社連合
​。 ​Burschenschaft.​ ​​​​


ようやくここでカメラがまだ白黒になったままなのに気が付いた次第です。
これは1872年に完成したメートリンク水道橋で建造記念物に指定されています。

何時も素通りされてしまうのですが、こういう橋を見るといつも思春期の感動映画「青きドナウ」の最初の場面を思い出してキュンとするのです。

ハートましてやこの映画に出たのがゲオルクさんのランク隊なんですから。ハート

さてっと、車がこのホイリゲの前で止まりましたよ。

ホイリゲは幾つも通り過ぎましたが、なぜここに?
「あのモミの小枝に気が付いたかね。あれは新酒が出来て飲めると言うワイン酒場の合図です。暗くなると灯りが灯って綺麗ですよ」

そうか、ぶどうの収穫は始まったばかりで、モミの枝の付いたホイリゲはこれからがお盛んになるんだ。

プップクンは白ワインを注文しましたが、ゲオルクさんは
お酒の飲めない私に ブドウから圧搾した果汁を勧めてくれました。
実はゲオルクさん自身、お酒を飲みません。タヌキの仲間です。
「ホイリゲのぶどう果汁は水で薄めないと飲めないくらい濃厚だからね」と説明しながら、 カラフェで出て来た果汁を半分注いでくれました。そして残りを自分のコップにも注いだ後、二つのコップにお水をつぎ足します。水で半分薄めてもまだ甘さを強く感じた飲み物でした。
「この果汁が発酵し出すとシュトルムワインになるんだ。本当のワインになる前の段階で瓶の蓋は密閉すると爆発してしまうんだよ。シュトルム(嵐)という名のごとく、内臓の中のすべてを嵐のごとく洗い流してくれる」
秋の終わりごろには我が町のスーパーにもぷつぷつと発酵中のシュトルムワインが出回ります。ほんのりとしかアルコール分を感じませんが、それでもお酒に弱いタヌキにはきつい。でも便秘症にはよく効くかもしれんなぁ~。
「ぶどうの若い枝を切ると、透明な樹液が出て来るけれど、耳の薬になるんだよ」
耳が痒い時とか痛い時にその汁を付けるそうです。そういえば我が家のブドウの木も下手な時期に切ると、涙のように樹液が出て、切り口をセメダインで止めているんですよね。ゲオルクさん曰く、ぶどうの樹液で薬を作って特許を取ったぶどう農家もあるとか。
尽きる事のない話題で時間が過ぎて行きましたが、適当な所でまた出かけます。
車に乗ったとたんに何台目かの「アルムドゥードラー」の運搬車に出会いました。

このレモネードは​あの映画「青きドナウ」や「野ばら」の場面に出た デュルンシュタイン ​(←クリック)で初めて飲んだハーブ入りの清涼飲料水で、
ウィーンの実業家の考案だとか。と言う事でこの民族衣装の二人の輸送車は ドイツでまだお目に掛かったことがありません。
また水道橋の写真を見つけました。

なぜこのネット写真か、と言うと橋の先にある教会に行ったからなのですよ。
車が木影の坂を上ると小さな空き地がありました。車を降りて少し歩くと石垣が見え、何かの予感で心がざわついて来ました。
ゲオルクさんが石垣に手を置いてこちらを向きました。
「私達の頃はここの部分は確か、隙間が開いていたような記憶があるんですが」
「それともこの石垣を乗り越えたのか…いや、なかったと思います」
今でも人が通るのか、奥の方まで細い道が灌木の下に見えています。
「この道をずっと行くと高い崖の上に出るんですよ」
行ってみたい気がしますが、この石垣を乗り越えるのは今はもうきつい。それに灌木が生い茂って先は見えません。
「子供にとっては危険な場所だったがね。私達はそこに座って遠くを眺めたのです。今また、こうしてここに立つと感傷的な気分になります」
ゲオルクさんは大きくため息をつくと「私達が見た景色はあそこからでも見られますから」と石垣に続く短い石の階段を下りました。

私達はしばらくそこに立っていました。あの向こうの山の彼方にノイジードラー湖があって、その向こうがハンガリーなんだ‥‥。
「ヤノスとはあれからどうなりました?」
「残念ながら今は彼がどこにいるのかもわかりません」
いくら懐かしがっても、音沙汰の無くなった友人は誰にでもいるんですよね。サリーもモコも溶子さんもミッキーもこのブログを見つけたらコメントください。

聖オトマールの横にある礼拝堂の前であの二人はどんな陰謀を企んでいるのか。
ゲオルクさんと一緒に車で行動している時は頭に浮かびませんでしたが、ペルヒトルツドルフに住む9歳の少年達が、こんなに遠く離れた聖オトマール教会までスケーターで来たのか、今になって気になりだしました。

ペルヒトルツドルフにもオスマントルコは侵攻してきましたが、その手前にあるメートリンクでも膨大な虐殺があった事をゲオルクさんは証明してくれました。

教会の石板には、トルコがウィーンに進軍した際の1683年7月にメートリングの市民の殆どが彼等に虐殺された事が記されています。何と猛烈な奴らなんだろう。
教会の中ではゲオルクさんは生き返ったような張り切りようでした。

そもそも当時のウィーン少年合唱団員たちは信仰心が強かったらしいので、教会の中では神に守られているような気がするのでしょうね。

ステンドグラスが美しかったので写真に撮ろうと頑張っていると、見かねたゲオルクさんが代わりに写してくださいました。

それでもあのステンドグラスはゲオルクさんの高い背よりもずっと高いのでした。
そして教会に入ったら絶対に撮る場所があります。
これじゃ!

ひとりでホクホクしていると、横から声が掛かりました。
「これは教会用の蝋燭消しですよ。火を消すのと灯すのと両方一度に出来るんだ」

これは面白い。けれど何となく石柱に立てかけてあったので適当に写してしまい、編集の時点で全体の写真を見つけました。下のゴムの部分を押すと、プッと空気が出て火が吹き消されるんですって。こんな面白いもの、ゲオルクさんの説明が無かったら、ただ通り過ぎていただけかも知れなかった。
ヤノスのメンタルタイムトラベルの場所は、ちょっとメランコリー
だったけれど、「見てごらんなさい。こんな事になってるよ」と教会を出る時にゲオルクさんが愉快そうに示したのは聖水がコロナの時の消毒噴霧器から出る事でした。

車に戻る特、階段の前でゲオルクさんが急に足を止めました。
「さっきはこれに気が付かなかったけれど、これはハンガリーの国旗みたいだ」

ちょうど階段を上がる手前の石垣にその3色のペンキが塗られてありました。
ヤノスの国、ハンガリーの国旗の色です。お互いに顔を見合わせました。
「偶然?……?? 不思議な事もあるものだね」
ゲオルクさんは急に楽しそうに左側で私と腕組みすると「女性には階段で手を貸さないとね」と言いながらプップクンには私の右側で腕を取るように促しました。どうしてこうなるんだろう。こんな階段なんか一人で上がれるのに…。
日本人ならではの
予感が 閃光のように閃きました。私はプップクンを蔑ろにして、両腕をゲオルクさんの右腕に絡め、お節介とは思いながらも彼が左腕で手すりを支えにして階段を上がるのを助けました。いくら気丈に振る舞っていても、まだ抜糸前の体調です。無理をさせたくない気持ちでした。何故ならゲオルクさんの次の行き先は、お祖母さんがシュールリ君に推薦するはずだった、今は無きウィーンの森少年合唱団の本拠地を予定していたのですから。
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Last updated  2025.10.14 19:10:21
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ponko310 @ Re[3]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) maaさんへ 11月6日からずっと楽天ブログの…
maa@ Re[2]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ponkoさま ようやく楽天ブログが復活した…
ponko310 @ Re[1]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ヤマチャンさんへ あら、それじゃ、他のレ…
ヤマチャン@ Re:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ponkoさんへ  残念ながら「ウィーン気質…
ponko310 @ Re[3]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ヤマチャンさんへ あはは、真面目なお話は…
ヤマチャン@ Re[2]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ponko310さんへ お国柄の違いには納得で…
ponko310 @ Re[1]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ヤマチャンさんへ おしゃべりに参加してく…
ヤマチャン@ Re:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ponkoさん、maaさん動画見てくださってあ…
ponko310 @ Re[3]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) Yuichannさんへ 多分グリュースゴットだと…
Yuichann@ Re[2]:【139 】衝動的なオーストリア旅行 4(10/26) ponko310さんへ エラーになったのでグリュ…

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