ヨカッタ探し

ヨカッタ探し

October 30, 2005
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カテゴリ: 読書ろぐ(mystery)
みっつ君さんの『朝霧』の感想を読んでいたら、


選んだのは、シリーズ第4作 『六の宮の姫君』 です。

創元推理文庫には英題がつくんですけど、これの英題は
一見関係ない”A GATEWAY TO LIFE”。
でも、卒業を間近に控えた「わたし」にとって、
これほどピッタリなタイトルもないでしょう。
     ”人生の門出”。


「わたし」の時を過ぎ去った今は、
最後の学生生活を送る「わたし」が持っているもののかけがえのなさ、
そして、「円紫師匠」に代表される大人たちが「わたし」に注ぐ眼差しの優しさ、
そのどちらも共感できて、とても大切な作品となりました。
一文を読み、ハッと胸をつかれて、
そこで本から目を離し、ぼんやりと思いにふける…。
「謎」よりも「ストーリー」よりも、文章を味わって読みました。

この辺りから、円紫師匠の謎解きスタイルも変わってくる気がしますね。
スルリとなんでもないことのように謎を解く。
そのスタイルは変わりませんが、「わたし」の前で
全てを解いて「見せる」ということがなくなってきたのかも。

「わたし」はそれに応えて、自分で謎を解く。
まるで、円紫師匠の思考の跡を追うように。
自力で解いて、初めて得られるもの、ありますよね。
以前は、円紫師匠は謎を解いて得られる真実が、
「わたし」に与える影響をそれとなく図っている様子が見えました。

「わたし」に真実を与えていたように思います。
円紫さんなりのフォローというか、真実の暗い一面を伝えながらも、
それを「わたし」が受け入れられるような配慮がなされてました。
それが、この『六の宮…』辺りから、変わってきてますね。
「わたし」が社会人となる第5作『朝霧』では更に。
この先、「わたし」はどんどん自分の足で世界を切り開いて行って、
どんな謎に出会っても、自分の力で真実に辿り着けるのではないかな、
などと思います。

…ファンとしては、「わたし」のこの先を見たい気持ちはヤマヤマ
なんですけども、難しいのかもしれないなぁ。





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最終更新日  November 2, 2005 06:02:10 PM
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